セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.400『あれから8年』

オピニオン

2012-03-19

 このたび400回の節目を迎えたが,別にめでたいわけでなし,だれに感謝されることでもない。ただただ惰性で書き続けてきただけなのだが,2004年3月から始めて丸8年の歳月を経てきたかと思うと,子どもの頃から何をやっても長続きしなかった私がよくもまあここまで続けてこれたものだと勝手に感心したりもする。

 2004年の全国のガソリンスタンド総件数は,初めて5万ヶ所を切り48,700ヶ所となったが,現在ではさらに1万ヶ所以上減少している。そんな逆風の中で,2004年4,000ヶ所の大台に乗ったセルフスタンドは,現在は倍以上に増え,5件に1件はセルフというところまで来た。私自身は,いまごろは2件に1件ぐらいの割合になっていると思っていたので,まだまだという印象だ。

 このコラムで幾度となく書いたことだが,石油元売が販売量を拡大するためだけに,でかくて重装備のセルフを“これがセルフだ”として展開した結果,本来,ローコスト・オペレーションのツールであるはずのセルフシステムが,過当競争のためのツールになってしまい,結果的に石油業界の疲弊をますます促進させてしまった。

 GS経営者が,元売を喜ばせることではなく,お客様と従業員のことを考えてセルフに取り組んでいれば,今日これほどGSが減ることもなく,小さくても採算の取れるセルフスタンドがたくさん出来ていたのではないかと思う。100回,200回…と回数を重ねながら,いつの日か独立系セルフの時代が来ると念じて書き続けてきたが,所詮“雑記帳”の悲しさで,人々に啓発を与えるようなことは出来ないまま,8年間400回もやってきたというわけ。ホント申し訳ないデス。

 8年前に世の中ではどんなことが起きたのか調べてみた。3月1日に製造業への人材派遣が解禁になった。のちに“派遣切り”という社会問題を引き起こすことになるが,この当時は雇用者にとって人件費の弾力的な調整が可能になるだけでなく,働く側にも様々なライフスタイルの選択が可能になるとして,概ね歓迎的に受け入れられたように記憶している。GS業界でも,セルフが増えると共に,店舗運営をアウトソーシングで行なうところが増えている。実際,正社員を何人も抱えてのGS経営は,もはや限界に来ていると思う。

 4月1日には,税制改正の一環として,消費税の内税表示が義務化された。当時のレギュラーガソリンの価格が外税で九十円台後半だったのだが,この法令の施行により三桁へと架け替えられた。便乗値上げを懸念する声もあったが,GS業界に限っていえば,これ以降それまで以上に価格の感覚が麻痺してしまい,消費税を取ったらほとんど利益のない価格で販売する“異常者”が続出するようになってしまった。今度消費税が上がったらどうなることやら…。

 11月1日には紙幣が一新された。おかげで,精算機や券売機の紙幣読取り装置を取り替えさせられることになったのだが,それよりも困ったのは,これを期に国内のほとんどの銀行が両替を有料化したことだった。釣銭を準備するのにもコストがかかる時代が始まったのである。あれから8年,日々コストとの戦いに明け暮れている。いつまで続けられるか判らないが,とりあえずあと2年,500回までは頑張ってみようかなと思います…。

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