セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.401『価格高騰』

GS業界・セルフシステム

2012-03-26

 先日のこと,深夜に来店したオバサンの客が監視室のドアを叩くので,スタッフがドア越しに応対した。

 「どうされました?」

 「どうされましたじゃないわよ! 何よおたく,また値上がりしてるじゃないの!ちょっと出てきて説明しなさいよ!」

 「すみません,この時間帯は部屋から出ることが出来ませんので…」

 「出てこれないってどういうことよ!そんなことならよそで給油するわよ!」

 「…はあ,申し訳ございません。それならそれで結構です。どうぞほかのスタンドへどうぞ…」

 ─で,結局その客はどうしたかといえば,ウチの店で給油をして出て行った。(笑) この1ヶ月間のガソリン価格の高騰に文句のひとつも言いたかったのだろうが,スタンドの従業員に噛み付いたところで仕方がないではないか。それとも,ギャアギャア言えば少しはまけてもらえるとでも思ったのか。いずれにせよ勘弁してもらいたい。

 とにかく,値上げが続いているこの時期,客が給油している時にうっかりほうきとちりとりを持ってフィールドに出ようものなら,「まだ上がるの?」「いつまで続くの?」と声をかけられること間違いなし。「こっちが教えてもらいたいですよ~」と作り笑いでかわすしかない。

 石油情報センターによれば,全国のガソリン平均価格が155円を超えたのは2008年10月以来3年半ぶりのことだそうだ。確かあの時は,4月の暫定税率一時停止と呼応するかのように原油価格が120㌦近くまで高騰,ガソリン価格が200円台になるのではないかとの観測も流れ,石油元売各社は,系列店の電光表示方式の価格看板を改造しはじめた。結局,10月に当時の新日石が「新価格体系」を導入するころには,ガソリン価格は下降してゆき,元売の数億円もの投資は無駄遣いに終わった。

 さて,今回はどこまで上がることやら。ひとたびペルシャ湾岸で戦端が開かれればまさに天井知らずということになろう。そうなれば,値上げのたびに殺気を帯びてくる客との接触は危険である。つくづく“引きこもりセルフ”でよかったと思う。クレジットカードも取り扱わないでよかった。単価が上がっても,そこに1円玉を積み上げることしかできないGS業界とは異なり,信販会社は手数料を「率」で持ってゆくため,単価が上がれば上がるほど,手数料も上がってゆく。

 ポイント制度も運営店の首を絞める。仮に百円ごとに1ポイントなんてシステムだと,あっと言う間にポイントが溜まってゆく。“こりゃあイカン”と思って,ポイント制度を途中で変更しようものなら,それこそ昼も夜も客からの文句に対応させられる羽目になる。かくして利益率は下がり,販促コストは重たくなってゆくという悲惨な状況へと追い込まれてゆくのだ。

 「また値上がりか~おたくらもうかってエエな~」とからかわれることがある。“冗談じゃねぇよ”と思いながらも,原材料の値上がりを価格転嫁できないでいる業種が多い中,毎週のようにひょいひょいと値上げすることが許されていることに申し訳ない気分にもなる。

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