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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.402『占い師に気をつけろ』

オピニオン

2012-04-02

 オセロ中島知子の占い師騒動で,“占い依存症”についてあれこれ取り沙汰されている。占い師の指示なしでは何も決断できなくなってしまったり,何人もの占い師に相談し毎月何万円もつぎ込む人が増えているのだという。占いなどまったく信じておらず,忌避すらしている私から見ると,明らかに精神に異常をきたしているとしか思えないが,将来への不安が男女を問わず人々を神秘的なものへと傾倒させるのであろうか。

 かつてヒトラーは,高名な霊能者の御託宣に従って連合軍の上陸地点をカレーであるとし,防備を固めたといわれている。(実際はノルマンディーだった) また,レーガン大統領夫人・ナンシーが,夫のスケジュールを占星術で決めていたという話は有名だ。国家元首のような人間ですら,いや,むしろそのような重責にあるからこそ,占いのような非科学的なものに頼ろうとするのだろう。

 占いに頼っている経営者がどれぐらいいるか知らないが,自己啓発セミナーや経営カウンセリングなどでマインドコントロールされてしまっている人は結構いるかもしれない。新年度を迎え,GS業界では,相変わらず油外収益を向上させるためのセミナーが,元売や石商の主催で活発に開かれているが,油業報知新聞などで紹介されるそれらの中身は,やはり観念的なものが多い。例えば,師曰く「人を動かすのは意味より意識。意味は教えるもの,意識は伝えるもの。リーダーは意味を教えるだけでなく,意識を伝えることが必要。意識で信じることができれば,人は必ず動く。意識が共有できていれば,お客様はあなたから買ってあげようということになる」─。

 高尚過ぎて,私には皆目わからない。とにかく,人を意のままに動かそう,それも,商品を売るという世俗的な目的のためにそうしようなどということ自体,胡散臭いことと疑ってしまう。そのうち,油外商品を売るための“念力”を伝授するセミナーが開発されるかもしれない。あなた行ってみたいと思いますか? 行くとすれば幾らまで払う気がありますか?

 確かに人間だれしも壁にぶち当たったり,深みにはまってしまうことがある。そんな時,助言や指導を与えてくれる“何か”を欲する気持ちが強くなる。年々厳しさを増すGS業界にいれば,なおさらだろう。ならば,せめてコンサルタントの先生方には,「商いは飽きない」とか「商売は笑売」などというくだらない言葉遊びではなく,具体的に何をどうすればいいかを論理的・科学的に説明する講習をお願いしたいものだ。まあ,そんな方程式があれば苦労はないのだが。

 いずれにせよ,難局を打開するのはあくまで自分自身であり,コンサルタントやメンターはあくまでそのサポートをする存在に過ぎない。決して彼らに心を支配されてはならないと思う。占い依存症となった人の多くは,最初は軽い気持ちで占いにはまり,次第に自分で考えたり決定したりする力を失ってゆき,やがて日常生活をコントロールされてしまうのだという。しかも,当の本人はその自覚がないという。恐ろしい話だ。元売の言うがままにセルフ化し,商品を仕入れ,キャンペーンを張り,カード会員を獲っている系列GSの経営者にどこか似ているとは言い過ぎだろうか。

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