セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.407『強盗犯罪』

GS業界・セルフシステム

2012-05-14

 毎月のようにガソリンスタンド強盗のニュースが報じられている。3月26日には,仙台市のGSに午前5時半ごろ,開店準備をしていた男性従業員が,トイレを借りに来た女を案内した際,男に後方から刃物のような物を首に押し付けられ,その間に別の男2人が事務室に侵入,金庫から売上金などを奪って逃走した。金庫は開店準備中のため開いていたのだという。

 今月1日には,午前4時ごろ,つくば市のGSで,やはり「トイレを貸して」と入ってきた男が男性店員を羽交い締めにしてひもで手首を縛り,レジなどの現金約6万円を奪って逃げた。男はトイレに行った後,「水があふれた」と事務所にいた店員を呼び,出てきたところを後ろから襲ったという。

 GSに限らず店舗商売では,トイレを借りに来るだけの人であっても「顧客」と認識して対応するのは,社員教育がしっかりできている証拠だと言われるが,夜中の4時や5時にトイレを借りに来るような連中を相手にするほど無警戒では,別の意味で社員教育ができていないと思う。

 治安が悪化の一途をたどっている昨今,お客様を“神様”だと思っているととんでもないことになる。客を装った“悪魔”がいることを常に意識していないと,損失を被るばかりか,命の危険をさえ招くことになる。セルフが日本でまだ珍しかったころは,給油後に代金を精算所に支払いに行く「後払い方式」が主流だったが,これは入れ逃げが多発したうえ,GSスタッフが強盗に襲われるリスクが高いことなどから,いまではほとんど見かけなくなった。

 お客様との接触の必要性を訴え,後払い方式のメリットを得々と説いていた業界コンサルタントもいたが,私は迷わず「先払い方式」,つまり,プリペイドカードによる決済方式を導入した。ローコストという観点から言えば,後払い方式の方が,イニシャルコストは安くつくかもしれないが,GSスタッフの命を危険にさらすようなシステムは,早晩,高い代償を払わざるを得なくなると思ったからだ。

 無論,プリカ方式にしておけば強盗が寄ってこないという訳ではない。常日頃から,警戒心を抱いて勤務せよと,スタッフには口をすっぱくして言っている。例えば,トレイに関して言えば,深夜の時間帯は閉鎖する。インターホンなどで呼び出されても,深夜であれば応対を断る。フルフェイスのヘルメットをかぶっていたり,マスクをしているような輩は,ハナから“犯罪者”と思って用心する─といった具合だ。

 セルフGSにおける我々の務めは,販売よりもむしろ監視である。事故の起きないよう見張りを怠らないことが第一義であり,客に近づいて機嫌を取り,油外商品を販売することは,それが確立されたうえで行なうべきことだ。安全を軽視した営業がどんな結果を招くか─それは,先日起きた関越自動車道で起きたツアーバスの事故を見ても明らかだ。

 日々,犯罪の脅威に怯えながらスタンド経営をしている私が,いま最も心配しているのは,ガソリン価格の高騰に激昂した群集が暴徒化して襲って来た時どうするかと言うことだ。笑い事ではない。東日本大震災以降,あらゆる危険性がこの国には潜んでいるということを認識していなければならない。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ