セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.409『多角化』

GS業界・セルフシステム

2012-05-28

 福島県を中心に,セルフGSを17店舗展開していた独立系GSチェーン「スタンドサービス」が民事再生法の適用を申請して倒産した。負債総額72億円。「帝国データバンク」によれば,同社はGS経営を主業に,GS向け計量機や貯蔵タンクの販売・施工,漏洩検査・保守などを行なう会社として1982年に創業したが,以後,「まうちゅう」の店舗名で急速にGSを拡大してきた。

 2008年に同社は観光事業部を開設し焼肉レストランの経営にも進出,昨年7月には,生肉(ユッケ)による集団食中毒で4人の死者を出して倒産に追い込まれた石川県の焼肉チェーン「焼肉酒家えびす」の20店舗を買収し,過去最高の売上げを計上した。しかし,『相次ぐ設備投資による借入金の負担増に加え,GS業界の競合激化から赤字店舗が増加,頼みの焼肉店も風評被害などで思ったほどの儲けが出なかった』(web版「産経ニュース」5月28日付)とのことで,一年も持たずにあえなく倒産となった。『GS業界の競争激化』はいまに始まったことではないので,恐らく「スタンドサービス」は,焼肉チェーン店を丸呑みして,本業での劣勢を一気に挽回しようとしたのではないだろう。しかし,結果は完全に裏目に出た。

 「スタンドサービス」は,東海地方には店舗がなく,なじみのない会社だったので,改めてインターネットで調べてみたら,「まうちゅう」というのは,「マウス」と「チュー」を掛け合わせたネズミのキャラクターで(http://www.stickam.jp/photo/177844903),「スタンドサービス」全店のサインポールに掲げられている。そして,その下には「丸紅エネルギー」のロゴマークサインも。当初,仕入れはサイト取引だったようだが,今年に入ってからCODによる業転他社買いが頻繁にあり,“あそこ,玉が思うように手当てできないようだな”とうわさになっていたらしい。17店舗ものGSの玉を手当てしながら,焼肉チェーン買収に伴うコスト負担を賄うのはやはり無理があったのだろう。

 昔からの“○○屋とできものは大きくなると潰れる”とか“□□屋と屏風は広げすぎると倒れる”といった諺があり,堅実な商人たちはそこに自分の生業を当てはめて戒めとしてきた。要は“身の丈以上の事をするな”ということで,GS業界にもそっくり当てはめることができる。資金力や収益性を甘く見積もって,「大きいことはいいことだ!」とばかりに店舗展開を進めたり,「カーライフビジネス」という曖昧模糊とした言葉に幻想を抱いて,やれレンタカーだ,中古車販売だ,板金塗装だと設備投資をして業容を広げると,後々まで苦しむことになる。

 とはいえ,斜陽化著しいGS業界にあって,いまのうちに新たな収益の柱を育てておきたいという考えは,大なり小なりGS経営者の頭の中にはあるだろう。斯く申す私も,時々,GS内の使われていないガレージで何かサイドビジネスができないかな~と考えたりする。例えば,パーティやセミナーなど多目的に使えるレンタルスペースに改装する。音響機器を設置してレンタルスタジオにするという手もある。学園都市の日進市には,ギターを背負った大学生がうろうろしているのだから。レンタカーは金と手間がかかりそうなので,乗らなくなった子供用の自転車を買い取って,自転車のレンタルをやるというのはどうだろう。田園地帯の日進市では,子どもたちはどこへ行くにも自転車に乗ってゆく。成長過程で2~3台は乗り換える必要があるから,その都度買い替えるのはもったいない。でも,どれもあまり儲かりそうにないな。そもそも儲かるんだったら,とっくにどこかのGSでやって“まうちゅう”の…(ダジャレ。苦)

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