セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.417『タンク検査始末記』

GS業界・セルフシステム

2012-07-23

 ガソリンスタンドに限らず,石油・化学製品の地下タンク,埋設配管には,一年に一度の漏洩検査が義務付けられている。タンク内の燃料を抜き取ることなく,密閉状態で窒素ガスを注入して一定時間圧力を加えて変化を測定し,漏洩の有無を判断するもので,タンクの本数にもよるが,一般的なGSで25万から35万円ぐらいかかり,結構な費用負担となる。私の店も,毎年いまぐらいの時期に検査を行なっているのだが,これまでのところ異常が検知されたことは一度もない。

 検査中は適宜給油レーンを閉鎖する必要があるため,普段,監視室に引きこもっているスタッフも,この日ばかりは店頭で来店客に説明したり,誘導したりと結構忙しい。普段,無人状態の店頭にスタッフが出ているものだから,この時とばかりに話しかけてくる客がいる。例えば,灯油のタンクの検査中に計量機を閉鎖しておいたら,「灯油は汲めないのか?」と聞いてくる客がいるので,「灯油をお求めでしたか?」と尋ねると,「こんな真夏に灯油なんか買うわけないがや」との返事。じゃあ,何で聞いたんだよ。

 四つしかない給油レーンのうちの二つを閉鎖している時間帯に店頭が混雑していたら,オバサンの客から「おたく,安いから給油に来たのに,入りにくいじゃないの!」と文句を言われた。何かおかしくないか? 広いスタンドだと思って来たのに,検査中で混んでいて入りにくいというのなら,「相済みません」と謝らねばならないが,「安いから来た」のに,混んでいることがけしからんとはどういうことだ? それがいやなら「高くて,すいている店」に行けよ!

 二つしかレーンが使えない時間帯に,バアサンが片側のレーンに車を停めると足早に券売室に入っていった。ところが,なかなか出てこない。スタッフがのぞいてみたら,券売室の奥の女子トイレにこもってしまっていた。早く出てきてくれと呼びかけるのも(はばかりだけに)はばかられるので,じりじりしながら待っていると,こういう時に限って客が立て続けに入ってくる。おかげで,店頭は大混雑となってしまった。

 10分ほど経過して,ようやく用を済ませたバアサンが出てきて,給油もせずに(!)出て行こうとするのでスタッフがとがめると,バアサンは逆切れし,「アンタ何言ってんのよ!人が困ってるのにトイレ貸さないつもり? アタマおかしいんじゃないの?!」と怒り狂って出て行ってしまった。“トイレを借りに来ただけでもお客様として扱う店は従業員教育がきちんとなされている証拠だ”などとほざくコンサルがいるが,冗談じゃない。クソ(をしに来るだけの)ババア,二度と来るな!

 GSの地下タンクは,気温の変化,地盤の変動,地中の湿度が引き起こす腐食,地震や通行する車などの振動など,様々な要因で日々ダメージを受けている。一方,地上で働いているGSスタッフも,厳しい気候の変化に加え,客のわがままやクレーム,会社からの厳しいノルマなどに日々耐えながらがんばっている。にもかかわらず,タンク老朽化による新たな修繕工事に必要な費用を賄うことができるだけの蓄えを持つGSは少なく,毎年廃業へと追いやられている。スタッフのがんばりは何だったのか,ということになる。地下タンクの検査も大切だが,地上で働く我々も,定期的に経営状態をチェックして,一年でも長く商売を続けられるよう努力しなければならない。

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