セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.425『環境税,消費税』

政治・経済

2012-09-17

 『10月1日に地球温暖化対策税(環境税)が創設されるのを前に,ガソリンスタンドの経営者が頭を抱えている。原油や石油製品に課される増税額は10月時点で1㍑当たり25銭となり、銭単位のコスト増をガソリンの小売価格に上乗せするのが難しいためだ。2014年4月からは消費税の2段階増税も行われる増税のダブルパンチとなる。ガソリン需要の低迷や激しい値下げ競争に悩まされる給油所の経営はさらに圧迫され,廃業が加速する恐れまで指摘されている』─2012年8月27日付「NSN産経ニュース」。

 やれ消費税だ,やれ原発だ,やれ尖閣諸島だなどと世間が騒いでいる中で,ひっそりと導入される新たな税金。14年4月にさらに25銭,16年4月に26銭と3段階で増税されてゆくのだそうだ。3年前に“ガソリン暫定税率を廃止します!”と言っていた政党はどこだっけ? まあ,恨み言を言ったところで詮無いことだ。先日のニュースで,南極上空の「オゾンホール」が去年よりも縮小していると報じられていたのがせめてもの慰めである。

 石油元売は卸価格に25銭をポンと上乗せして請求すればよいが,小売業者は上乗せが難しい,なぜなら,『増税分を添加すれば「便乗値上げだ」との非難を招く恐れがある。東京多摩区のGS経営者は「消費税とは違い端数増税なので認知度も低く,転嫁は難しい」と語っている』(2012年9月13日付「日本経済新聞」)というわけだ。

 冗談じゃない! 普段は仕入れ価格が下がらなくても,(下手をすると上がっていても) 気前よく2円も3円も値下げするくせに,たかだか1円程度の値上げが「難しい」だって? 笑わせるなと言いたい。それに,仕入れ価格は毎週変わる。上がったり下がったりしているうちに環境税分なんかすぐに呑みこまれてしまうだろう。とりあえず,今月最後の週末は駆け込み給油の特需が見込めそうだ。

 それよりも,メディアにもっと取り上げてほしいのは,これまでガソリンにかけられた税金にはすべて消費税がかけられているということだ。ガソリン税53.8円,石油税2.04円,石油関税0.215円に今回の環境税を加えると56.305円。今月の中京地区の平均的な業転価格125.0円に10円のマージンを乗っけたうえで,これまでどおり消費税をかければ141.75円。一方,ガソリン諸税を除いた本体価格に消費税をかけると138.94円で2.81円の差が生じる。消費税率を14年度の8㌫で再計算すると,その差は4.50円にもなる。こっちの方が,GS業者にとっても,消費者にとっても大問題なのだが…。

 全石連などが“タックス・オン・タックス廃止”を訴え続けてはいるが,恐らく無視されるだろう。我々GS業者は“税の徴収者”であると割り切って,お上が定めた税金を販売価格にきちんと乗っけて取り立てるしかない。便乗値上げだとの非難を恐れて「転嫁できない」などと弱音を吐いているGS業者は店をたためばよろしい。

 消費税率は15年度10月には10㌫となる。この時点で原油価格の水準がどの程度になつているかわからないが,下手をするとガソリンは“ぜいたく品”の仲間入りをしそうだ。一方で,まだ当分のあいだは自動車燃料として生活必需品でもあるのだから,我々はその狭間にあってこれまで以上に厳しい経営環境に置かれることを覚悟していなければならない。すなわち,消費税率が上がれば上がるほど,消費者は価格に敏感になってゆく。価格競争を生き残るためには,安い業転ガソリンを仕入れ,セルフ化によって人件費を削ることで,少しでも利幅を広げてゆくしかない。どうしても元売を裏切れないという方は,せめて「ブランド料」だけでも非課税扱いしてもらうよう元売に嘆願してみてはいかがだろうか。

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