セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.434『ボジョレー・ヌーヴォー』

社会・国際

2012-11-19

 今月15日は,「11月の第3木曜日」ということで,あの,ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日であった。ボジョレー・ヌーヴォーとは,毎年,フランスのボジョレー地方で収穫されたぶどうで作られた最初の赤ワインのことで,当初は,ぶどうの出来栄えの良し悪しを確かめるためにワイン業者に振る舞われていた試飲用の酒だったらしいのだが,その後,解禁日がイベント化され,今日に至っている。

 “初物”ゆえのフルーティで柔らかな味わいを楽しみにして,毎年,世界中のワイン好きが待ちわびているとのことだが,実際には,日本向けに出荷されるボジョレーが,全体の出荷量の半分近く(800~1,000万本)を占めている。つまり,ボジョレー・ヌーヴォーをありがたがって飲んでいるのは日本人だけ,という醒めた見方をすることもできる。おまけに,今年のボジョレーは悪天候の影響で,何十年に一度という出来の悪さなのだと,あるワインバーのオーナーが教えてくれた。

 私は,ワインの味なんて皆目わからず,興味もないのだが,たまたま今年の11月15日に,28年前,50歳と150日で他界した父と寿命 (18,413日) が並んだので,その記念にと思い,近所のス-パーで2,500円のボジョレー・ヌーヴォー(750ml)を1本購入し,晩酌に飲んだ。えっ? 味はどうだったかって? う~ん,「フツー」でした。

 それにしても,日本人はなぜボジョレー・ヌーヴォーを好むのか。あるマーケティング調査によれば,日本人は,ブームに乗り遅れまいとする消費者心理が特に強いうえ,“出来立て”というコトバにとても弱いのだという。ボジョレー地方のワイン生産者や卸売業者にとって,日本人は大切なお得意様なのだが,一方で,近年,これまた日本ならではの問題に頭を悩ませているという。それは低価格化が進んでいることだ。

 日本の流通大手は円高を背景に千円以下のボジョレー・ヌーヴォーを販売,今年はフルボトルで500円のものもあるという。ボジョレー地方の業界団体の会長さんは,記者会見で,「下げすぎは良くない。新たな顧客が生まれるかもしれないが,利点はそれだけだ」と明言している。業界団体はまた,価格を下げるために,容器をペットボトルや紙パックにして販売していることについても,風味が損なわれるとして是正を求めているとのことだ。

 それにしても,安売りで「新たな顧客が生まれる」ことを,それ「だけのこと」と切って捨て,「販売業者らが価格を下げる気にならないよう,今後もワインの質の高さを広めてゆきたい」と語るボジョレー業者の心意気には,あっぱれと言いたい。ワインとガソリンでは比べようもないのだろうが,代理・特約店に「ブランド料」なるものを課しておきながら,自らの100㌫子会社に安売り量販を指令して,市況を滅茶苦茶にしている石油元売の方々に聞かせてやりたいと思うのは私だけだろうか。

 それはともかく,前述のとおり,16日以降,父よりも長生きできていることに感謝しながら毎日を送るきょうこの頃である。残念なのは,この齢になっても一向に人間として“熟成”せず,父にほめてもらえそうなことを何も成し遂げていないことである。人生の折り返し点はとっくに過ぎてはいるが,いま一度,新たな(仏語でヌーヴォー)気構えでセルフの伝道活動に励んでゆこうと思う。

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