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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.435『ガソリン新党』

社会・国際

2012-11-26

 日本語表現辞典によると,「近いうち」とは,「時間がそれほど隔たらない間に,近々,といった意味の表現。時間を明確にしないように示す言い方の一種」とあるが,これからは「百日後のこと」と明記することができるのではないか。野田首相が8月8日の自公両党との党首会談で「近いうちに国民に信を問う」と約束してから,ちょうど100日後の今月16日,衆議院は解散した。民主党も自民党も単独で過半数の議席を得ることは難しい状況にあるうえ,いわゆる“第三極”を形作ろうと毎日のように政党が離合集散を繰り広げており,選挙後の新しい政権の枠組みは混沌としている。

 現在与党の民主党について言えば,比較第一党となることも叶わず,ボロ負けは必至との見方が優勢だ。政権交代直後の国民の期待があまりにも大きかっただけに,失望の度合いも大きいというわけだ。マニフェストで“あれもやります,これもやります”と約束しながら,その大半を実行できなかったうえに,やらないと言っていた消費税増税を決めてしまったとなれば,愛想をつかされたとしても仕方あるまい。

 私としては,やはり「ガソリン暫定税率の撤廃」と「高速道路の全線無料化」は実現してほしかった。そもそも多くの国民が,政権交代すると生活が変わると実感したのは,あの2008年4月の暫定税率撤廃の時だったのではないだろうか。ガソリンが1㍑25円も値下がりしたことに文句を言う人はだれもいなかった。これがずっと続けばありがたいと感じつつ,民主党政権への期待が高まっていったのだと思う。そのうえ,高速道路も無料化されていたなら,有効な景気対策となっていただろう。

 もし,懸命のムダ削減も及ばず,財源不足で増税やむなしというのであれば,やることをすべてやったうえで消費税増税を明言し,信を問うべきだった。そうすれば,民主党は戦う前からこれほどボロボロになってはいなかったと思う。やはり,約束は守るべきものであり,守れなくなった場合は潔く非を認めた上で謝るべきなのだ。

 結局,今度の選挙では,どの政党も,ガソリンの事も道路の事もまったく触れていない。ガソリンスタンドの過疎化によって中山間地の生活基盤が脅かされていることや,消費税率が上がれば上がるほど,二重課税構造のガソリンの価格は不条理に値上がりしてゆくことなど,原発やTPPほどスケールは大きくなくても,国民生活をじわじわと侵食してゆく問題だと思うのだが。

 このままだと,どの党が政権を獲っても,ガソリンやGSのことはあまり構ってもらえなさそうだ。ある時は無駄な道路の建設財源とされ,またある時は地球温暖化対策のいけにえとされ,その度に新税を課せられたりして,気がつけば我々が売っている商品の中身はほとんど税金になってしまっている。こうなったら,TPPに参加した暁に,シェールガス田をドカンと掘り当てて勇躍石油輸出国となった米国から,「日本のガソリンにかけられている税金は高すぎる」とかなんとかイチャモンつけてもらって,そうした税金を引っペがしてもらうしかなさそうだ。

 思うに,ガソリンを安価で安定的に供給できるかどうかは,その国の財政・経済・外交・通商などあらゆる分野の力量を測るバロメーターと言える。ガソリンがいつでも安く,好きなだけ安心して買える国は良い国なのだ!ということで,だれか「ガソリン新党」を立ち上げてくれないかしらん。

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