セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.437『ワイルドだろぉ』

エンタメ・スポーツ

2012-12-10

 今年の「年間流行語大賞」は,スギちゃんのキメゼリフ,『ワイルドだろぉ』。今年の忘年会の余興は,デニムのノースリーブと短パンのオンパレードだろう。石油元売の宴席では, 「○□石油の社長がPBになるって言ってきたから“好きにしろ”って言ってやったぜぇ。ワイルドだろぉ~」ってな具合に精一杯強がって言うとやんややんやの喝采を受けること間違いなし。ただし,特約店主たちを招いての賀詞交歓会ではドン引きされるだろうからやらないように。

 大賞以外のトップテンには,『維新』,『第三極』,『近いうちに…』など,政治関連のコトバが幾つか入った。いま,選挙戦の真っ最中だが,二大政党制が定着することなくぐちゃぐちゃな状態となっており,その有様は,ひとむかし,いや,ふたむかし前の石油業界のようだ。あのころは,共同,大協,丸善,三菱など,いまは名前が消滅した元売のほか,エッソ,モービル,ゼネラルもそれぞれ独立して存在しており,まさの乱立状態だった。その後,合併に次ぐ合併によって,ほぼ五社体制といえるまでに集約されてきたが,一方でPBが石油業界の“第三極”ともいえる存在になった。系列傘下でのGS経営に危機感を抱いた人たちが続々とPB化し,いまも「近いうちに…」と逡巡している予備軍がたくさんいる。

 そのまた一方で,設置後40年以上経過した地下タンクの改修義務化が,来年2月に猶予期間を終え,施行される。私の店の近くの小さなGSは,すでに取引先に年内で廃業する旨の告知をしている。恐らく,いまごろ全国で相当数のGSが,数百万円もかかる工事をしてまで延命治療することをあきらめ『終活』を始めていることだろう。そして,来年の2月以降,中山間地域におけるGSの過疎化は一層深刻化してゆくことだろう。

 格安航空会社,すなわちローコストキャリアを意味する『LCC』も,トップテンの仲間入りを果たした。航空業界の規制緩和を機に,ANAやJALなど大手航空各社が相次いでLCCに本格参入した。GS業界に例えるなら,元売りが直営のPBスタンド会社を設立し,格安ガソリンを販売するようなものだ。ある調査結果では,LCC利用者の大半が「また利用したい」との回答をしているが,その理由はただ単に価格が安いからだけではなく,「余計なサービスがなくて良い」ことも評価されているようだ。

 周辺GSより10円高く売っても客が逃げてゆかないほどのサービス力や,薄利を補って余りあるほどの油外収益力でもない限り“余計なサービス”を削って,厳しい価格競争に耐えるコスト体質を培ってゆく以外に生き残る道はない。だからこそ,ローコストセルフ,略して「LCS」なのだと訴え続けているのだが,こちらは一向に流行語にならない。

 それにしても,相変わらず,我々独立系GSにとってのハイオクの仕入れ価格かと思えるほど高いレギュラーガソリンを元売から買っている系列GSが少なくない。よく辛抱できるものだ。え?もう限界ですって?それじゃあ,いまならではの交渉術をお教えいたしましょう。

 まず,いますぐガソリンでも灯油でもいいから業転品を購入する。そして,デニムのノースリーブと短パンに着替え,仕入先を訪問する。その際,裸足で行くように。そして,納品伝票を突きつけて,こうタンカを切るのだ。「あんまり高いんで,業転を買ってやったぜぇ~。とっても安くてビックリしたぜぇ。ワイルドだろぉ~」─。もしかすると,その気迫に恐れをなした仕入先担当者が,あなたを『手ぶらで返すわけにはゆかない』とばかりに,仕入価格の調整に応じてくれるかもしれない。

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