セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.439『マヤ暦』

社会・国際

2012-12-24

 古代マヤ暦によれば,2012年12月21~23日ごろに世界が終末を迎えるとのことだったが,あっけなく過ぎていった。中国では「三日間の暗黒が続く」といううわさが広がり,ろうそくの買い占め騒ぎが起きたり,ネットショップで「ノアの方舟乗船券」というジョークアイテムが約40万元(約540万円)も売れるなどの社会不安が起きたらしい。

 我がセルフスタンド日進東はといえば,“世界終末”期間中の販売成績はまずまずだった。ただし,ガソリン価格は130円台に膠着したままで,一向に上がる気配がない。何が悲しくて一年のうち最も繁忙な時期までこんな安売りをしなければならないのか。GS業界は,自ら“終末”を速めているように思える。

 また,来年1月末をもって猶予期間が終わる,40年以上経過している地下タンクの修繕を義務付ける改正消防法が,全国の多くのGSに終末を宣告することになりそうだ。こちらはマヤ暦とは違って確実に到来するだろう。

 ところで,二千年以上前に中央アメリカで栄えたマヤ文明は,何がきわだっていたのか。スミソニアン誌によれば,「マヤ文明は文字体系を完成させたが,それは南北アメリカ大陸で発展した唯一の真の文字体系であった。また,数学や天文学の分野でも幾つかの際立った進歩を遂げていた。これらの人々はゼロという有用な概念を発見しており,暦法を持ち,それによって惑星や天体の運行をかなり正確に算出することができた」─。

 マヤ人は時間を計測し記録する方法を絶えず探し求め,この分野で最大の業績を残した。他の文明と比べても,数学や天文学があまりにも突出して優れていたため,一部の研究家のあいだでは,異性人干渉説も取り沙汰されており,有名なエル・カスティーヨのピラミッドはUFOが離発着するためのターミナルだったと主張している。ハハハ…。

 マヤ暦は不発に終わったが,世界が危機的な状態にあることは,だれの目にも明らかだ。戦争や暴力,飢餓や疫病,自然災害などで大勢の命が犠牲になり,経済不安による貧困や自殺も一向に減る兆しがない。日本のGS業界という非常に狭い世界においても,やはり暗いニュースばかりが報じられてきた。

 例えば,資源エネルギー庁の調査によれば,2030年のガソリン需要は,いまの6割程度にまで減るとの予想が出ている。お先真っ暗だ。また「帝国データバンク」によれば,GSの倒産件数は,自動車保有台数が前年同月比減少に転じた2007年度から毎年負債総額が100億円を超える高水準で推移している。そのうえ前述のとおり,改正消防法が追い討ちをかけると見られており,GSの減少は一段と増加すると見られている。これまたお先真っ暗だ。

 様々なデータを駆使して計算し,現状分析を行ない将来の予測を立てたとしても,それに基づいた行動を起こさなければ何の価値もない。マヤ文明は9世紀に突如終焉を迎えたが,その理由はいまのところはっきり解明されていない。いずれにせよ,高度な計算力と観測力を持っていても,滅亡を防ぐことはできなかったのだ。もちろん想定外の出来事が絶えず存在するため,絶対的な安心を得ることは不可能だが,GS業界はあまりにも危機感が乏しいと言わざるを得ない。果たして来年のいまごろはどうなっていることやら。ではよいお年を…。

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