セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.44『セルフに戦略は必要か?』

GS業界・セルフシステム

2005-01-17

 この時期、各元売系列の賀詞交換会が開催されている。事実上のキックオフ・ミーティングであるこの会で元売幹部が特約店主を前に語る言葉には、必ずと言っていいほど“戦略”という単語が含まれている。「カード戦略」「カーケア戦略」「ブランド戦略」等々、とにかく彼らは“戦略”を語るのが好きである。しかも、その戦略に「最強の」とか「究極の」などといった枕詞まくらことばをつけて、自信たっぷりに語るのを、特約店主のみなさんが「早く懇親会にならねぇかなぁ」といった面持ちで腕組みして聞いている─というのが恒例の風景となっている。

 いろいろ趣向を変えても、所詮、元売りが特約店に望むことは、昔から「たくさん買って早く払う」事に尽きるのだから、この際、ギター侍調に「みなさん、元売りの戦略はウザったい、って言うじゃな~い…。ですから、どうぞみなさん自由にやってください。とにかく、我が社の製品を1㍑でもたくさん売ってくだされば結構です。価格も自由、方法も自由。ただし、事後調整は一切しませんから~残念!“自己責任”斬り!」と正直に言ってしまったらどうだろう。

+

 会場は騒然となるかもしれないが、実力ある店主はニンマリするに違いない。元売りの「販売戦略」という名のおせっかいから解放され、思う存分暴れてやろうと発奮することだろう。どよめく特約店主たちに、元売り幹部は続けて言い放つ。「というわけで、今回は懇親会もいたしません。みなさん、早速ご自分の会社に戻り、頑張って売ってください!本日はご苦労様でした!」─。

 しかし、そんなことを宣言してしまったら、元売の小売部長なんて要らなくなってしまう。「○○企画室」とか「□△戦略チーム」なんてものも不要になってしまう。もちろん、セールスマンも必要なしということになってしまうから、元売は、自分たちがいかに一生懸命仕事をしているかを誇示しようとして“戦略”を語っているとしか思えない。ところが、セルフスタンドの登場によって、カードシステムや教育プログラムなどなくても、ガソリンが売れることが明らかになってきたため、元売はあわてて、セルフにも“戦略”が必要だとし、口出し手出しをしている。彼らは、カーケア戦略を持たない「給油だけのセルフ」は生き残れないと勝手に決めつけ、重装備のセルフスタンドを展開しているが、その結果、フルスタンド以上に高い固定費や在庫を抱えることになり、売れども売れどももうからないという状況に陥ってしまっている。

 たかが、ガソリンスタンドじゃないか。仕入れた物を、加工もせず、包装もせずにただ供給しているだけ。そんな商売なんだから、イッパシの経営者になったつもりで“戦略”なんて言葉に酔いしれて、ゴチャゴチャ難しいこと考えなくてもいいんじゃないでしょうかねぇ。…拙者、しょっちゅうスタンドのソファで昼寝してますから~切腹!

コラム一覧へ戻る

ページトップへ