セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.45『スタンド不信』

GS業界・セルフシステム

2005-01-24

 妻の知人が、今月の初めに九州の実家から高速道路で帰ってくる途中、京都付近で突然車が止まってしまった。何が何だか分からないままレッカー車を呼び、自分たちは新幹線で名古屋まで帰ったとの事だった。原因は、帰省する直前にガソリンスタンドでオイル交換をした際、ドレンコックがしっかりと閉まっていなかったためで、オイルが少しずつ漏れ出し、とうとう帰路の途中でエンジンが焼きついてしまったのだ。

 スタンドに事情を話し、修理代はもちろんのこと、帰りの新幹線の旅費も弁済してもらうことになったそうだ。「いままで車のことはスタンドに任せっきりにしていたから本当にびっくりした」そうだが、そのスタンドも、初歩的なミスの結果、油外収益の何日分かが吹っ飛んでしまっただけでなく、一人の優良顧客を失ってしまった訳だから、気の毒なことだ。

 GS業界がカーケア収益を稼ぐために、あれこれと策を打ち、躍起となっているのとは対照的に、一般ドライバーのかなりの割合の人たちが、GSで車を点検・整備してもらうことに不安を抱いている。その理由としては、いま紹介したようなずさんな作業によるトラブルのほかに、店頭での強引な売り込みや高い料金などが挙げられる。

 ある元売りが油外販売の模範店として、系列特約店に見学に行くよう勧めているスタンドでは、ボンネットを開けさせることに成功すると、“あれが足りない、これが汚れている”と、まるですぐにも車が壊れてしまうかのような報告(というより警告)がなされ、客が「じゃあ…」と応じるや否や、まだ給油しているその場でATFやクーラントを交換が始まる。結局その客は何万円も払わされる羽目になったそうだ。その一部始終を見学していた人は、そのあまりに強引なやり方に、「とてもあんな事は真似できない。まるで客をレイプするかのようだった」と語っていた。

 スタンド従業員の言いなりになっている客も客だが、いずれにせよ、そんな無茶なことを続けていれば、やがてしっぺ返しを食うことになる。今日の利益を追いかけるあまり、明日につながる信頼を失ってしまうのだ。何と愚かなことだろう。

 セルフスタンドにおいても例外ではない。以前、知人があるセルフスタンドで給油をしていると、スタッフが近づいてきて、「エンジン点検しておきます」と言うや否や、勝手にドアを開け、ボンネットのレバーを引こうとした。「オイ!勝手なことするな!」と彼が怒鳴ると、スタッフは憮然とした表情でその場を去ろうとしたので、彼は店の責任者を呼び抗議した。「おれは畳屋だが、もし俺があんたの留守中に、許可なく畳を“点検”しに家に入ったら、あんたどう思う?車の中には貴重品なんかも置いてあるんだ。これは一種の不法侵入だぞ!」─。

 なるほどごもっとも。反論の余地なしだ。初歩的なミスを犯したり、強引な売りこみをしたり、無神経な振る舞いをしたり─これじゃあ、ガソリンスタンドなんかに大切な車を任せられやしない。ご立派なシステムやプログラムを開発する前に、商道徳の基本から教わる必要がありそうだ。そのうち、客が自衛手段として「押売り・勧誘お断り」なんていうステッカーを車に貼るようになるかもしれない…。

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