セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.452『パナソニック』

政治・経済

2013-04-01

 『パナソニックの入社式が大阪府門真市の本社などで行われ,新入社員422人が参加した。津賀一宏社長は訓示で「お客さま一人一人がパナソニックのファンになれるような会社を目指していく」と宣言。また,平成25年3月期の連結最終損失が7650億円と2年連続の巨額赤字となる見通しについて「利益は社会のお役立ちへの報酬。パナソニックの現状は,お役立ちできていないといえる」と指摘した上で,「新入社員の方々は会社の状況について不安を感じているかもしれないが,一定の収益を生む普通の会社にしていきましょう」と激励した』─4月1日付web版「産経新聞」

 日本を代表する企業の社長が,新入社員に向けて「普通の会社にしていきましょう」と呼びかけなければならないところに,この会社の,ひいては日本の家電メーカーの置かれている危機的状況が窺われる。現在のパナソニックの窮状については,すでにいろいろな分析がなされており,私如きが意見するなどおこがましいのだが,一言だけ言わせてもらえば,やはり“本業”とも言えるテレビへのこだわりが,事業再編や社内改革の遅れを生じさせたのではないかと思う。

 テレビなんて日本国内ではもう飽和状態だし,海外の市場は韓国メーカーに制圧されているのはだれの目にも明らかだ。それなのに,ついこのあいだまで,日本の大手家電メーカーは次世代テレビの開発に凌ぎを削っていた。家電メーカーにとって,テレビ事業からの撤退は,言いたくてもだれも言い出せないタブーだったに違いない。しかし,パナソニック津賀社長は,遂に前経営陣が巨費を投じたプラズマテレビ事業からの撤退を決断した。いまさらの感はあるが。

 GS経営者も時代の流れを注意深く観察し,それに対応してゆかねば…と書きはじめて,別にそれほどたいそうな業界じゃあねぇなと思ったりするのは私だけだろうか。確かに,これまでに特石法の撤廃とか,消防法の改正など,業界環境に大きな変化をもたらした出来事はあったが,結局,いつの時代もどこかからガソリンを仕入れてそれを売っていることに変わりはなく,十年一日の如き業界である。元売の対応がむかしと違って,冷淡になったと嘆いている人がいるかもしれないが,元売はむかしから特約・代理店を見下している。いまに始まったことじゃあない。敢えて言えば,最近はそのことを正直に表しているだけのことだ。

 永らく会社の主力商品だったものを捨て,まったく新しい成長分野を見きわめ資源を投入するなどという難しい経営判断をするようなことは,GS業界にいる限りまだしばらくはなさそうだ。電気自動車の時代になったらどうしようなどといまから心配している人もいるだろうが,ほとんどのGS経営者はそんなことを案じる余裕はない。需要の落ち込みは着実に進行しており,過当競争は激しさを増すばかりだ。(先月も酷かったですな) 地下タンクの寿命も確実に近づいてくる。時代の流れを読むどころか,滝つぼに落ちないようその流れに逆らって必至にボートをこぎ続けなければならない。「普通の会社」であり続けることは,本当に大変なのだ。

 パナソニックが現在の危機的状況を脱することができるかどうかは,不採算事業を思い切りよく切り捨て,徹底的なリストラを速やかに行なえるかどうかにかかっているというのが,経済アナリストたちのほぼ一致した見解だ。30万を超える従業員とその家族の生活がかかっている仕事なんて,考えただけでゾッとする。どれだけ高額の給料をくれるとしても絶対に遠慮したい。

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