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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.458『アンジー』

エンタメ・スポーツ

2013-05-20

 アンジェリーナ・ジョリー(37)が,乳がんのリスクを高める遺伝子の変異が見つかったため,予防措置として両乳房切除手術を受けたことは,日本でも大きな論議を巻き起こしている。今月14日にニューヨーク・タイムズ紙への寄稿文の中でアンジーは,「決断は簡単ではなかった。でも,私が乳がんになる確率は87%から5%以下になった。子供たちに『母親を乳がんで失う心配をしなくていいよ』と言ってあげられる」と綴っている。彼女の母親が,乳がんで約10年間の闘病生活の末,56歳で他界したことも,今回の苦渋の選択の背景にあるらしい。

 そんじょそこらの女優のオッパイの話ではない。現在,映画1本当たりのギャラが1,500万㌦(約14億円)以上という,ハリウッドの,いや,世界の頂点に君臨するスーパーセレブが,その美乳にメスを入れ“中身”をすべて取り出し,インプラントに詰め替えるという手術をやってのけたのだ。メディアは概ね,「勇気ある決断」と称え,がん家系の女性たちに希望を与えたとしている。しかし,3ヶ月に渡り,総額約2万㌦(約200万円)の治療費がかかるうえ,遺伝子検査に別途約3千㌦(約30万円)が必要とされており,「大半の女性にはできない選択」との醒めた見方もある。また,一部の専門家は,手術そのものの効果に疑問を呈しており,後遺症を懸念する声も挙がっているという。

 アンジーの決断に比べれば物の数ではないが,ガソリンスタンド経営者にとって,セルフに改造するか否かの決断は,相当の勇気と覚悟が必要だろう。いまのままでは競争に勝ち残れず,遠からず廃業に追い込まれるとの危機感からセルフ化を目指すも,いざ計画実行の段になるとやはり不安に襲われる人が多いようだ。無理もない。元売社有のセルフスタンドは,失敗したらさっさとたたんでしまえば済むが,彼らは自分と一族の人生がかかっているのだ。

 私のクライアントにも “もし,これまでの客にそっぽを向かれたうえに,新しい客が全然来なかったらどうしよう”と考えるとなかなか寝付かれず,やめていたタバコをすぱすぱ吸い出してしまったという人がいた。元売から指図されるがままに「標準的」セルフに改造するのならともかく,どこの馬の骨ともわからない「コーディネーター」の提案に社運を委ねるのはさぞかし勇気が要ったに違いない。“伴走者”である私も,「大丈夫,必ず成功しますよ」と声をかけつつも,プレッシャーを全身でギシギシ感じてしまう。それだけに,現在,クライアントのみなさんが盛況を呈している様子を見るのは,喜ばしくもあり,誇らしくもある。

 もちろん,セルフにすれば万事OKということではない。セルフにしたばっかりに死期を早めることになったGSもある。問題は,どのようなセルフシステムを導入し,どのようなビジョンで目下の厳しい環境に臨むかということだ。アンジーは入院中も出演依頼作の脚本を読みふけっていたという。好機の目にさらされる中で,彼女は今後どんな役柄に挑戦してゆくのだろうか。次回作「Unbroken」に注目が集まる。

 最後に,アンジェリーナ・ジョリー主演作の中からベストワンを選ぶとすれば,これは文句なしに,失踪した我が子を探し続ける母親を演じた「チェンジリング」だ。アンジーの鬼気迫る演技に圧倒される。是非ご覧ください。

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