セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.466『灼熱地獄』

GS業界・セルフシステム

2013-07-15

 だれに会っても,第一声は「暑いですね~」。気象予報士・森田正光氏によれば,日本では平安~鎌倉時代に真夏日が突出して多い時期があり,「今年は千年に一度の猛暑になるかもしれない」とのことだ。2010年には東京で真夏日が71日,猛暑日が13日を数える歴史的猛暑を記録したが,「その時より暑くなる可能性がある」らしい。

 名古屋も連日どえりゃあ暑さが続いているが,そんな中,フルサービスのガソリンスタンドで忙しく動き回っている従業員のみなさんには,くれぐれも熱中症に気をつけていただきたい。考えてみれば,接客を屋外でする商売なんて,ガソリンスタンド以外にあまり思い浮かばない。カーショップや洗車専門店などは,接客する係と作業する係が別々だが,GSは大抵一人二役,三役を汗だくでこなさなければならない。しかも“キビキビ,ニコニコ,ハキハキ”で。ご苦労様デス。

 この猛暑の中,体育の授業中に小学生が熱中症で倒れる事件が各地で発生しているが,私に言わせれば,そんな日に炎天下で持久走をさせるような学校は“児童虐待”をしているとしか思えない。“昔の子どもたちはそんなことでへばったりしなかった”などという人がいるかもしれないが,昔と今では暑さの質が全然違う。「千年に一度」かどうかは知らないが,まさに灼熱地獄のような日々。朝の天気予報でも「きょうは危険な暑さとなります」なんて言っているぐらいなのだ。

 わたしはいまのところ熱中症を発症したことは一度もないが,もしフルサービスのGSの店頭で働いていたらぶっ倒れていたかもしれない。GSのフィールドは,屋根こそあれどカンカンに熱した自動車が発する熱と排気ガスとによって,体感温度はヒートアップしている。ガソリンを給油することが,命の危険を冒してまで行なうべき仕事かと考えさせられる。フルサービスのGSも,夏のあいだだけでもセルフにしてはどうだろうか。おそらく,一度セルフになったら,もうフルサービスに戻りたくはなくなると思うが…。

 しかし,この日照りはGS業界にとっては大いなる恵みとなっているのも確かだ。自転車に乗るのを控えて自動車に乗る,その自動車でエアコンを炊きながら走る,給油口を開ければガソリンが蒸気となって減ってゆく─今年の春ごろから続いていた販売量の低迷が,少しずつ回復しつつあるようだ。折りしも先週からようやく採算値へ向けての価格是正が始まり,いまは年に一度あるかないかという豊穣な時期を迎えている。

 ただ例年,このような時期はそう長くは続かない。一週間も経たないうちに熱中症を発症し,体温(収益)を維持しようとせず,目まいを起こしそうな価格設定をするGSが出現することだろう。また,「サマーキャンペーン」などと銘打って,ティッシュなどの景品をばら撒いたり,洗車やオイル交換の割引券を乱発するなどの“ショック症状”を引き起こすGSも少なからず現われる。

 ガソリンの仕入れ単価は,昨年の同じ頃より約15円/㍑も値上がりしている。暑さで頭をやられて安売りや採算を考えないイベントなどを仕掛けようものなら,利益率はたちまち危険な状態にまで下がることだろう。元売りは炎天下でも,いや炎天下だからこそ元気に走り回れと焚き付けるかもしれないが,肝心の水分補給はほとんどなされないだろう。やっぱり暑い日はじっとしているに限る。

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