セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.471『ガソリンは危険物!』

GS業界・セルフシステム

2013-08-19

 今月15日,京都・福知山市の花火大会で起きた爆発事故は,改めてガソリンが危険物であることを思い知らせることになった。19日現在,大火傷を負い重篤な状態にあった44歳の女性と小学5年生の男児が亡くなった。誠に痛ましいことだ。

 消防の調査したところでは,携行缶に入ったガソリンを屋台の発電機に補充しようとしたところベーパーが引火,爆発したとのことだ。屋台店主がくわえタバコで注油しようとしていたとの目撃証言もある。本当だとすれば,もはや犯罪と言わざるを得ない。

 こうした事故・事件のたびに,全国のガソリンスタンドに対して,携行缶への販売に対する厳重注意のお達しが消防署から届く。しかし,ガソリンの貯蔵は40㍑未満であれば規制はなく,「火災の発生の危険が極めて高いので,保管することは,極力控えてください」との注意書きが付されているだけだ。また,昨今のガソリン高騰で,安いGSで満タンにしたうえに,携行缶に買いだめしようとする客が増えているとも聞く。

 消防署はGSに“よく見張っていろ”と言うだけでは限界があることを認め,ガソリンが灯油とは比べ物にならないほど危険な液体であることを,国民に広く啓蒙すべきだ。それが難しいというのなら,一切のガソリンの容器販売を禁止すべきだろう。そうでもしなければ,ガソリン爆発による惨事は,今後もかたちを変えて繰り返されることだろう。

 いまや,自動車関連商品のほとんどすべてを通販で買える時代になったが,ガソリンそのものはGSへ行かなければ購入できない。なぜならそれが危険物であるからだ。GS業界人はこのことをよく考えるべきだ。GSでしか販売できない唯一の商品を安売り合戦で販売し,「利益は油外で稼ぐ」と息巻いている人たちがまだ大勢いるが,それらの商品の大半が通販で買われてしまう時代が来ていることが分かっているのだろうか。

 福知山での事故から話が大きく逸れてしまったように思うかもしれないが,私が言いたいのは,ガソリンは国民生活になくてはならないものであると同時に,その取り扱いは決して簡単なものではないということだ。したがって,GS経営者が行なうことのできる最大の社会貢献は「ガソリンを販売する」ということなのであって,それ相応の代価を得て当然なのだ。(こうしているあいだにも,札幌市で141円で売っている○○がいるが…)

 そのGSが,毎年減少しているということは憂慮すべきことだ。先程,ガソリンの貯蔵を全面禁止と述べたが,過疎地においてはむしろこの規制を緩めざるを得ないかもしれない。ある村では,都会から赴任してきた消防官が,各戸で備蓄してあったガソリン携行缶をすべて撤去させたところ,村民から死活問題だと猛抗議を受け,備蓄を再び認めることにしたという。決して望ましいことではないが,最寄のGSまで片道1時間近くかかり,冬は雪に覆われてしまう村では認めざるを得ない。

 要はいつまで経ってもガソリンを安売りし続けるから,業界全体が疲弊し,社会インフラとしてのGSの減少に歯止めがかからないのだ。一方,携行缶によるガソリン購入は登録制にしたうえで,屋台なんかでは決して扱うことができないぐらいの高値で売るようにすれば良い。ガソリンを売る側も買う側も,それがいかに危険で,いかに貴重な代物かということをこの機によく考えるべきだ。

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