セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.473『ブラック企業』

社会・国際

2013-09-02

 “ブラック企業”とは,「従業員に対して過労やサービス残業を強いたり,パワハラや偽装請負や派遣差別を行なったりするなどして問題視されている企業」(ウィキペディア)の総称である。昨年から,弁護士やジャーナリスト,NPO法人の代表などで構成されている「ブラック大賞企画委員会」が,企業に対する問題提起と環境改善を目的として,その年のブラック企業の頂点となる会社を選出している。

 先月11日に第2回授賞式が開催され,大賞には,2008年6月に入社2ヶ月の女性社員が精神疾患を発症し,「誰か助けてください」などと書かれたメモを残して自殺した,居酒屋チェーン「ワタミフードサービス」が選出された。当然の事ながら同社代表者は授賞式に出席せず,トロフィーと賞状,副賞の「労働六法」は,主催者の一人が“代理”で受け取ったという。

 毎晩,日付が変わるころに帰宅し,また朝早く出勤する。人手不足などで1ヶ月に1日休めるかどうか。上司からは“目標が達成できないのによく休めるな”と叱責される。そうして身も心もボロボロになり,遂には過労死,あるいは自ら命を断つに至る─。実に痛ましい出来事である。遺族の悲しみは如何ばかりかと思う。

 もちろん,「ワタミ」をはじめ,過労死や自殺者を出した企業の側にも反論はあろう。そもそも“ブラック企業”の認定は難しい。ある社員にとっては“ブラック”でも,他の社員にとってはそうでないかもしれない。労働環境と,自殺や過労死との因果関係についても,はっきりしないケースが多々あるという。しかし,そうであったとしても,従業員を死に追いやるような会社は,やっぱりどこかおかしいと思う。

 自分の会社はどうかと問われれば,「絶対大丈夫!」などと言える訳がない。GS業界に限って言えば,朝早くから夜遅くまで働いてくれる従業員の頑張りなくしては成り立たない。しかも,この業界の置かれている状況を反映し,金銭的にその労に十分に報いているとは言いがたい。それでも,いまの会社を立ち上げて以来13年以上忠実に働いてくれている従業員には,本当に感謝している。

 最近,聞いた話だが,あるフルサービスのGSが,本社から“業績を上げることができなければセルフにするぞ”と言われ,それ以降,販売量を上げるべく安売り販売を続け,店長は休日返上で店頭に立っているのだという。「セルフ」イコール「リストラ」というイメージを抱いているのだろう。確かに,セルフ化によって,人件費の削減効果が期待される。しかし,業績を上げさせるための脅しにセルフを利用するのは看過できない。セルフは,人件費コストを抑制する一方で,従業員の労働環境を改善する手段だと考えているからだ。

 セルフ化により,長時間営業が定めのGSにおいて,従業員を交代で休ませながら運営することができる。「給油以外はフルサービス」という訳の分らないセルフスタンドもあるが,総じてセルフでは監視がおもな業務となるため,性別や年齢に関わらず働くことができる。また,店内精算方式のセルフを別にすれば,深夜においても従業員を危険にさらすことなく営業することもできる。私自身も,コントロール室で“セルフは楽でええなぁ”と感じながら店番してきた。ブラックコーヒーをすすりながら─。

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