セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.478『消費増税決定』

GS業界・セルフシステム

2013-10-07

 安倍首相は来年4月から,消費税を8㌫,再来年10月から10㌫に引き上げることを決断した。それと同時に,今月から,それまで消費税を含む「総額表示」が義務付けられていた価格表示方式を,消費税を含まない「税抜き表示」も認めるとの法律が施行された。いまのところ,GS業界で,有力量販店や大手チェーン店が「税抜き表示」に切り替えたというニュースは報じられていない。さもあらん。

 「総額表示」が定着した現在,自分の店だけ抜け駆けして「税抜き表示」をし,価格を安く見せかけたとしても,同業者以上にお客様からの反感を買うだけだ。140円という激安価格の看板を見て給油したが,レシートを見たら147円だったなんてことをやっていたら,一日何回客に文句を言われるか,想像しただけでゾッとする。

 また“一万円プリカ円は1円引き”とうたっているGSが,「総額表示」の価格から1円引いていたものを,「税抜き表示」から1円引くことにすると,1㍑あたり数銭ずつではあるが持ち出しが増える。“塵も積もれば”で,あだやおろそかにはできない。かと言って,いくら『値引き分はこれまでどおり消費税を含む価格に適用されます』なんて張り紙をしたところで,だれも気づきやしないので,これまた客からのクレーム殺到だろう。

 いまや,日本中のドライバーが見ているガソリン価格サイト「gogo.gas」も,「総額表示」で統一されている。いまさらこの商慣習を変更するメリットなんぞどこにもないように思う。ただし,「gogo.gas」の全国ランキングを見ると,10月6日現在,三重県鈴鹿市で3軒のPBスタンドが141~2円で販売競争を繰り広げている。これ,税込み価格だよね…。

 とにかく,ガソリンだけでなく,日本中のほとんどの品物が「総額表示」で販売されているのに,法律で許されているからといって「税抜き表示」にしても,客の目を欺こうとするセコイ奴と見られるだけではないか。したがって,いまも,これからも,GS業界は「総額表示」を維持することが賢明であることに異議を唱える人はあまりいないと思う。

 しかし,中には『我々の売っている商品がどれほど税金によって占められているかを消費者にわかってもらいたい』とかナントカ言って,レシートに消費税だけでなく,ガソリン税まで別々に表示印字させているGS経営者もいるそうな。ご立派な啓蒙活動だと思うが,そんなことしても“ふ~ん”と言われておしまいだ。2008年4月に一ヶ月間だけ暫定税率が廃止されたときを除けば,GS業界はいつも税金を掛けられ放しではないか。売る側も買う側も,もうあきらめてしまっている。

 そんなことより,来年4月から8㌫になるということになれば,総額150円のガソリンであれば,4円近く税負担が増すことになるのだから,いたずらに価格競争を行なうのはますますもって“デンジャラス”であるということを,系列子会社も独立系PBも自覚すべきだ。タンクローリー一杯分200万円(外税)のガソリンに対する消費税が,6万円も増すということは,仕入先の与信管理がますます強まることを意味する。具体的に言えば,CODによる取引が前提条件でない限り,価格交渉はおろか,取引そのものにも応じてもらえないということになってゆくのではないか。セルフ化やタンク補修などの投資も,できることなら今年度中に行なったほうが良いのだが…。

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