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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.479『ゼネラル・マネジャー』

エンタメ・スポーツ

2013-10-14

 ネットニュースを見ながら,“その手があったか…”とうめいた。中日ドラゴンズの来期の監督に,現役捕手の谷繁元信がプレーイングマネジャーとして就任し,ゼネラルマネジャー(GM)として,あの落合博満が帰ってくる。このコラムでも散々書いたとおり(何のコラムだ?) 落合のいないドラゴンズなんぞ怖くも何ともない。したがってジャイアンツの一人勝ちじゃと大喜び,実際この2年間,そのとおりの結果となった。

 高木守道監督の退任は当然のこととはいえ,いまさら落合氏にもう一度監督をやってくれとは頼めまい,恐らく最有力候補・立浪和義が監督になるであろうと踏んでいたのだが,危機感を抱いた球団オーナーの強い意向で,まさかの新体制発足となった。我がジャイアンツにとって最も手強い相手が,ユニフォームをスーツに着替えて戻ってくることになった。まったく苦々しい話である。

 米国メジャーリーグでは,GMはチームの権限のほとんどを有しており,チームの編成や方針の決定,トレードやドラフトでだれを獲り,だれを切るかの判断を,球団オーナーから用意された予算の範囲内で行使してゆく。監督はGMの決めた方針を忠実に実行する中間管理職に過ぎず,GMが有能であるか否かがチームの戦力を大きく左右すると言われている。

 現在,メジャーにおいて最も有名なGMは,オークランド・アスレチックスのビリー・ビーンだ。1997年に就任して以来,「セイバー・メトリクス」と呼ばれる独自のドラフト戦略や若手選手育成法によって,常にメジャーで最低水準の年俸総額ながら,ア・リーグ西地区の優勝争いに加わり続けている。今期もスター軍団ヤンキースの3分の1の年俸総額で,見事地区優勝を成し遂げている。

 従来注目されていなかった出塁率や長打率を評価し,盗塁や犠牲バントの効力を否定するなど,革新的な理論で“金持ち球団”ヤンキースやレッドソックスと互角に渡り合うチームを作り上げたビリー・ビーンは,ローコスト・セルフを標榜する私にとって憧憬の的である。あまりにカッコイイその生き様は,2011年に『マネーボール』という題で映画化された。ビリーを演じたのはブラッド・ピット。映画好き,野球好きのみならず,経営者必見の快作である。

 GS業界においても,強い者,大きい者が必ず勝つ訳ではない。いや,むしろ強者ゆえの弱点というものもあるわけで,ガソリン価格が高騰中の現在,販売不振が続くGS業界ではコストのかかる大型GSは相当厳しい状況に置かれているはずだ。赤字が続けば,どんなに勝っていたとしても球団はつぶれてしまう。何百㌔販売しようと利益が出なければ,そのGSはやがて元売に買い取ってもらうか,さもなくば閉鎖するしかない。いまこそローコスト経営へのシフトチェンジが急務だ。

 落合GMが率いる中日ドラゴンズがどのような変貌を遂げるか大いに興味のあるところだが,ジャイアンツはそれを押し返すべくさらなる戦力アップに取り掛かってほしい。そもそも金持ち球団の代表格のように揶揄される巨人だが,日本でいち早く「セイバー・メトリクス」をスカウティングで活用し,4年連続で新人王を輩出したのは我がジャイアンツであることをお忘れなく。

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