セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.48『軽油』

GS業界・セルフシステム

2005-02-21

 後を絶たない軽油の不正販売。今月19日には、帯広市の石油販売会社の社長ら6人が、おととし6月から12月にかけて軽油に灯油を混ぜて増量した不正軽油、およそ4500キロ㍑を十勝地方の運送会社などに販売して、北海道に納める軽油引取り税、およそ1億5000万円を脱税したとして地方税法違反の疑いで逮捕された。1㍑の利益が10円にも満たない昨今の状況にあって、軽油引取り税分32円10銭が丸々もうけになるとなれば、ガソリンスタンド業者にとってはまさに悪魔の誘惑である。

 「軽油の代わりに灯油を」という発想をするのは脱税目的の業者ばかりではない。以前、私のスタンドに深夜やってきたダンプカーが、灯油の計量機の前に横付けして給油を始めた。そんなことをするとディーゼルエンジンの噴射ポンプが焼き付く恐れがあるし、当局の検査でも受けて、うちが不正軽油を販売したという疑いを掛けられても困るのでやめてほしいと断った。運転手は「いやぁ、すまんすまん。でも、このところ燃料費は上がるわ、運賃は逆に下げられるわで、やむを得ず灯油を混ぜてるんだ」とぼやいていた。確かに1㍑32円10銭のコスト軽減はめちゃくちゃ大きい。エンジンへの負担覚悟で灯油を給油する気持ちも分からないではない。

 ところで、ディーゼルエンジンといえば、目に見える黒煙や窒素酸化物に目くじら立てた某都知事の号令で、日本では締め出されつつあるのだが、本来、燃費効率も良く、発がん性のあるベンゼンや、地球温暖化の元になる二酸化炭素の排出量も少ないディーゼルエンジンは、ヨーロッパでは環境対策のエンジンになりつつあるのだそうだ。へぇ~。

 また、運送業者向けは別として、乗用車向けの軽油はガソリンよりも大抵利幅が大きい。しかも、ガソリン価格はしょっちゅう過当競争となるのに対して、軽油価格は比較的安定している。それに、ランドクルーザーなどの代表的なディーゼル車は、タンク容量も大きいので一回の給油で結構な量が入る。ガソリンスタンドにとってもディーゼル車はありがたいお客様なのだ。

 そして、これは私のまったくの推測なのだが、ディーゼル車のドライバーは、総じてセルフスタンドが好きなのではないかと思うのだ。というのは、彼らはフルスタンドで、従業員に間違えてガソリンを給油されたり、されそうになった経験があるので、自分で給油したほうが安心なのだ。また、ガソリンと違って、給油時にクリーミーな泡が発生する軽油を、一度ならず給油口からこぼされた経験のあるドライバーたちは、きっと自分の手で心ゆくまで給油したいに違いない。“マイ軍手”をはめて愛車に軽油を注ぐ客の姿を見ていると、“やっぱりセルフがイイ!”と感じるのは私だけだろうか。

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