セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.482『エビ』

社会・国際

2013-11-04

 後を絶たない食品偽装。今回はエビ。「ミシュランガイド関西2013年版」で一つ星を獲得していたザ・リッツ・カールトン大阪の中華料理店「香桃」では,7年前からバナメイエビを芝エビと称して料理に出していたとのことだ。阪神阪急ホテルズや京都ブライトンホテルのレストランなどでも同様の誤ったメニュー表記がなされていたと報じられている。レストラン側は,謝罪したものの,お客様をだまそうという意図はなく,あくまでも“誤表記”であると主張している。

 ほかにも,オージービーフを「国産牛」,トビウオの卵を「キャビア」,加工したジュースを「生絞りジュース」と,いずれも“誤表記”していました,と全国のホテルが連日公表し,ドサクサ紛れにやり過ごそうとしている。あまりの偽装メニューの多さに,もうどうでもエエと客が思ってくれればしめたもの。そもそもエビチリのエビが芝エビかバナメイエビかなんて大方の人には分からない。あのミュランさえも見抜けなかったのだから─。

 レストラン側は“誤表記”だと言い逃れようとしているが,それはまったく信じられない。エビも牛肉もジュースも皆,本来のものよりも安価なものを用いていた,つまり,不当な利益を上げていたわけだから,確信犯的行為であると言われても仕方がない。味が変わらなければ良いという問題ではない。りっぱな詐欺行為である。

 こうしたニュースが報じられると,GS業界では決まって「系列マークを掲げながら業転ガソリンを仕入れているのは偽装ではないか」という論議が蒸し返される。もっとものように思えるが,実は,ガソリンはエビと違って皆同じものだ。だからこそ,最近になって公取が系列GSも業転玉を仕入れることができるよう緩和措置を元売に促しているのだ。

 ところで,今回の騒動ですっかり粗悪品呼ばわりされているバナメイエビだが,いまや日本の食卓にはなくてはならない安価で美味しい食材だ。バナメイエビがなくなってしまって困るのは,世界一のエビ消費民族である日本人なのだ。その意味においては,バナメイエビと業転ガソリンはよく似ている。

 私の店のようなPB店は全量業転を仕入れているが,週に一度のサンプル採取においてはいつも適合品のお墨付きをいただいている。当たり前だ。仕入先の出荷伝票は,皆“有名ブランド店”から出されているものばかりなのだから。独立系GSは,いまや日本のGS総数の20㌫を占めている。もし業転玉を市場に流してはいけないということになれば,困るのはジャブジャブの油を持て余している元売自身なのだ。

 では,そんなガソリンに“ブランド料”を上乗せした割高な価格メニューを系列GSに提示している元売は,あこぎな商売をしているとの責めを受けるべきかといえば,断じてそのようなことはない。業転玉は油槽所で引き渡しておしまいだが,系列GSに対しては商品を安定的に供給するのみならず,ヒト・モノ・カネを投入し強力なサプライチェーンを構築せしめんとしているのだから,その輪の中にいる系列GSの安心感たるやいかばかりであろう。ゆえに,系列GSは,「我々は単にガソリンを給油するだけでなく,快適なカーライフをサポートするための様々なサービスを提供しているのだから,安く売るしか能のないPBセルフとは違います」との自信と誇りを持って,堂々と“芝エビ価格”を表示すれば良い!

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