セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.484『なんで忘れるんだ!?』

GS業界・セルフシステム

2013-11-18

 先月,ドイツのガソリンスタンドで,新婚旅行中の夫が給油中に車から降りた妻を置き去りにしたまま出発し,2時間も運転し続ける騒ぎがあった。地元紙によれば,47歳の夫と32歳の妻はフランス旅行を終え,ベルリン郊外の自宅に向かう途中,ガソリンスタンドに立寄った。トイレに行った妻が戻ると,夫の姿はなく,車も走り去った後だった。

 「夫が何か事件に巻き込まれたのかと思った」という妻はパニックに陥り,スタンド店員が警察に通報。妻が後部座席で寝ていると思い込んでいた夫は,警察に連絡するよう呼び掛けるラジオ放送を聞いてようやく異変に気付き,既に200㌔も走行していた道を慌てて引き替えし,5時間後に再会した。妻は,「怒ってないわ。わざとではないもの」と夫をかばっているという。─10月16日付「時事通信」。

 ワシのカミさんだったらどうなっていたことやら…。それにしても,思い込みとは恐ろしいものだ。2時間ものあいだ,車内に新妻がいないことに気付かなかったなんて。携帯電話とかなかったのかねぇ。今後,夫婦喧嘩のたびに,「アナタ,あの時ワタシを置き去りにしていったこと忘れてないでしょうね!」と蒸し返されるとしたらかなわんなと余計な心配をしてみたりする。

 実は,何年か前に私の店でも同じような事件が起きた。老夫婦が来店し,やはり奥さんがトイレに行っているあいだに夫は給油を終えて店を出て行ってしまった。奥さんはしばらく呆然と立ち尽くしたあと,店の中をうろうろ。「どうかなさいましたか?」「あの…ここでガソリン入れていたクルマ,どこへ行っちゃったのかしら」「さっき出てゆかれましたよ」「えっ」,というわけで,すぐに携帯電話で夫を呼び出す奥さん。怒気をはらんだ名古屋弁で,「ちょっとおとうさん!ワタシを置いてったらいかんがね!」─。

 同じくドイツでの出来事だが,セルフスタンドで給油した男性が,精算を終えたあとそのまま車を忘れて,歩いて家まで帰っていってしまったという嘘みたいな話をネットニュースで読んだことがある。恐らく,世界中のガソリンスタンド,とりわけセルフスタンドで,同じような事が起きているのだろう。

 私の店でも,釣り札やプリカの取り忘れが時々ある。監視していて気が付けばすぐに知らせるのだが,時すでに遅しということもしばしばだ。青い顔で「財布知りませんでしたか!?」とやってきて,録画映像で確かめてみると,クルマの屋根に乗っけたまま店を出てゆく様子が…というパターンも定番。あれ,案外長い時間乗っかっているんだよね。

 今年のはじめにあった新種の忘れ物は,エンジンをかけたあと,スマートエントリーの電子キーを車外に置き忘れたまま来店し,エンジンを切ってしまってから立ち往生というケース。家族に電子キーを届けてもらうまで1時間あまりもレーンを塞がれ,こちらも大迷惑。お人よしのスタッフには,今度同じことがあったらすぐにJAFを呼べと注意しておいた。

 長年の観察からわかったことは,タンクキャップやプリカ・釣り銭などを給油中に忘れる客の多くは,スマホなどをいじくったりするなどの“ながら給油”をしている事が非常に多い。よそ事などせず,ただひたすら給油に神経を集中していただきたい。“最近ガソリン高いなぁ”などと余計な事をつぶやくのも禁物。妻帯者は,妻以外の女性のことを思いながら給油することなど努々無きよう。うっかり“忘れ物”をしないために─。

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