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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.489『巨人・大鵬…』

エンタメ・スポーツ

2013-12-23

 今年の1月19日,元横綱・大鵬(本名・納屋幸喜)が亡くなった。72歳だった。1961年から71年まで58場所に渡り君臨した“昭和の大横綱”。大関時代も含む幕内最高優勝回数32はいまだ破られていない大記録である。その大鵬と同い年で,誕生日も9日違いという親友が,王貞治。長嶋茂雄との「ON砲」を中心とした巨人が9年連続日本一を成し遂げたのは1965年から73年まで。この空前絶後の偉業を成し遂げた監督・川上哲治も今年10月28日に93歳の生涯を閉じた。日本が高度経済成長を続ける中での大鵬と巨人の破竹の進撃に多くの日本国民がファンとアンチに別れて熱狂した。

 そんなさなか,通産省の気鋭の若手官僚であった堺屋太一が,記者会見で「日本の高度成長が国民に支持されるのは,子どもが巨人,大鵬,卵焼きを好きなのと一緒だ」と軽口をたたいたところ,これが語呂の良さからか大層ウケて,「巨人・大鵬・卵焼き」のフレーズが広まることになったというわけ。

 高度経済成長が始まるまでは,卵は一般家庭において高級食材だったことから,庶民の憧れの的として巨人,大鵬と共に挙げられたとの説もあれば,長期にわたり「物価の優等生」と呼ばれた卵が,その安定感ゆえに巨人,大鵬と同列に並べられたとの説もあるが,実際は,当時公害問題などで経済優先との批判を受けつつあったことに対し,ほとんどの日本人は,子どものようにあれこれ心配などせず喜んでいまの政策を受け入れていますよ,という皮肉交じりのコメントとして発したものだったと堺屋氏は述懐している。

 確かに“不動の人気”や“無敵の存在”として,「巨人」と「大鵬」が並びたてられるのは,同じスポーツのくくりからも理解できるが,「卵焼き」って一体何なんだ?と感じていたので,それが国民の大半は卵焼きを喜ぶ子どもと同じ程度のものなのだという,なかば官尊民卑の発想による表現だったと知って少し合点がいった。しかし,それだとまるで巨人ファンがアホみたいに思われるので癪に障るが…。

 この頃,通産省は石油業法を施行させ,精製部門の許認可権と需給調整権をもって石油業界をコントロールし始めた。この法律によって,第一次石油ショックの際,標準価格の公示などの措置がなされ市況の混乱を防ぐことができたものの,その後,石油元売は各社横並びで半官半民化し,採算よりシェアを優先する体質が形成されてしまった。2002年に石油業法は撤廃されたが,自由化とセルフ化の中で現在まで毎年千ヶ所を超えるGSが倒産・廃業する状況となっているのはご承知のとおり。“利益は後からついてくる”とばかりに販売合戦に明け暮れていた1990年代までのGS経営者は,さながら「卵焼きを喜ぶ子ども」レベルであったということか。

 では,現在のGS業界はどうかといえば,全体としては変わっていないように思う。とりわけ昨今,石油元売は直営販社の規模を拡充させ,相変わらずシェア優先の販売政策を推し進め,中小零細のGSを圧倒している。まるでかつての巨人や大鵬のように。来年も,中小零細のGS経営者にとっては厳しい戦いが続くことだろう。我々が生き残るためのキーワードは「セルフ・PB・業転玉」だ!

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