セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.500『十年前』

オピニオン

2014-03-17

 いつ連載を止めても構わないという条件で書き始めたこのコラムだが,何と10年間5百回も続けてしまった。読者から熱烈な支持を得たわけでも,油業報知新聞社から高額のギャラをいただいているわけでもないのにどうして続けてきたのかといえば“なんとなく”というのが正直な感想だ。

 文章を書くのが好きかといえば,全然そんなことはない。むしろ苦手。毎週,締切りの月曜日の朝は憂鬱な気分になる。「だのに~なぜ 歯をくいしばり 俺は書くのか そんなにしてまで~♪」と歌いたくなる。家内も,毎週パソコンの前で悶絶している私を呆れ顔で見ながら「そんなに苦しいなら止めちゃいなさいよ。一文にもならないんだし」と“励まして”くれている。

 十年といえば結構な歳月なのだが,ガソリンスタンド業界のような変化の乏しい環境の中にいると,まさに“十年一日”のごとくに感じられる。仕入価格が週毎に改定されるようになったり,ガソリンの暫定税率分が一時的に廃止されたり,40年以上経過した地下タンクの改修が義務化されたりと,それなりに“事件”があったとはいえ,価格競争と油外商材の開発に明け暮れる日々がいつ果てることなく続いてきた。

 そんな業界にあって,ああでもない,こうでもないと論陣を貼り続けるのはなかなか骨が折れる。手を変え品を変えて問題提起をしても,所詮,毎回同じようなことを書いている。当初は,ローコストセルフの宣伝を目的に書きはじめたのだが,いつもまにやらただの「雑記帳」になってしまっていることもしばしばだ。ここはひとつ,初心に立ち返ってローコスト・セルフシステムの有用性について訴えねばなるまい。えへん(咳ばらい)。

 少子化と省エネのおかげで,この先,国内のガソリン需要が上昇に転じることは考えにくい。パイが縮小してゆく状況にあって,普通なら粗利単価を高めるよう努力するのが賢い人々の選択だが,GS業界はそうしてこなかった。これからもそうだろう。なぜなら,石油元売が直営網を拡大し“質より量”の旗幟を鮮明にしているからだ。10年前に一光も鈴与も消滅するとはだれも想像していなかったのではないか。今後も,元売主導の価格競争は続くだろう。リッター15円も儲かる時代なんて二度と来ないとあきらめた方が良い。

 では,油外商材の開発に活路を見いだすべきか。変化のないGS業界を尻目に,自動車の性能・構造はこの10年間で大きく変化した。GSで扱う自動車関連商材の品数は減る一方だ。これまで,車検や修理を町工場やGSに“おこぼれ”として与えてきた自動車メーカーも,最近は太刀打ちできない価格でユーザーをかっさらってゆく有様だ。優秀な人材と豊富な在庫を持ち続けない限り,油外商材の販売で成功することは難しい。

 こうした厳しい経営環境の中でまず最初に取り組むべきは,コスト,とりわけ人件費の削減だ。やみくもに人を減らせというのではない。1時間当たり,1㍑当たりの人件費を軽減させることが肝要だといいたいのである。そのためには,量販や油外を目的とした重装備のセルフではなく,軽装備のローコスト・セルフシステムへの転換が必要なのだ。詳しいご相談はぜひ私まで…。

 いかがでしょうか?おわかりいただけましたか?“十年前と変わってないのはお前のほうだろ”と言われそうだが─。

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