セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.502『増税前日』

GS業界・セルフシステム

2014-03-31

 いまこのコラムを書いている時点で,消費税率はまだ5㌫である。「セルフスタンド日進東店」は24時間営業なので,日付が4月1日に変わる午前零時過ぎに価格看板を掛け替え,POSの消費税率の設定及び単価設定を変更しなければならない。増税前の駆け込み需要がどうのこうのとメディアは騒いでいるが,私の店に関して言えば,普段の1.5倍程度の売上で,30日の段階でようやく前年同月の販売量に追いついた程度である。最終日にどれだけ売れるかという期待よりも,4月からどれだけ売れないかの方がはるかに心配だ。まあ,あの“暫定税率騒動”の時ほどのことはないと思うが─。

 今回は,消費税に加えて環境税(0.25円/㍑)も増税されるため,1㍑あたり約5円の値上がりになるわけだが(って,勝手に上げ幅を決めるなよ), その程度の値上げは,愛知県の“セルフ銀座”日進市では,毎月のように前触れなしでやってきたからへっちゃらだ。例えば,今月の25日にも,それまで147~8円で横並びだった価格看板が,一斉に155~6円に値上がりしたかと思えば,きょうまでのわずか5日間のあいだにずるずると150円ぐらいに値下がりするという体たらく。こんなことを繰り返している始末だから,あすからとりあえず5円上げても,3日も経たないうちに増税分を食いつぶすような価格競争をおっぱじめやしないかと心配だ。

 消費税の引き上げに先立ち,昨年10月から,総額表示方式を緩和し外税表示を一時的に(2017年3月末まで)認める法律が施行されているが,いまのところGS業界は従来どおり総額表示で行くようだ。しかし,今後,外税表示で販売するGSが出てこないとも限らない。例えば,ホームセンター業界では税込み価格と本体価格を併記して表示するそうだが,量販GSを運営するホームセンターで,ガソリン価格にもそれをやられた時には,周辺のGSは否応なく付き合わされることになるだろう。

 あるいは,今後,ウクライナ情勢を巡る緊張から原油価格が上昇し,ただでさえ高いガソリン価格に対する国民の不満が高まって来た時,少しでも怒りを静めようと,お上がガソリンの価格表示を外税にするよう“要請”してくることも考えられなくはない。いまから,『当店の価格表示はすべて税抜き価格です』という告知看板の準備をしておいたほうがいいかもしれない。

 それはさておき,新聞報道などによると,好景気に沸く大手企業のもとで,コスト削減要求の厳しさが増している中小零細の下請け企業では,今回の増税分を被らざるを得ないとのことだ。それに比べれば,我々の業界は儲からないながらも,値上がりすれば即転嫁できるという環境にあるだけまだマシなのかもしれない。時々余計なお節介と感じることもあるが,マスコミがガソリン価格について“告知”してスムーズな転嫁を後押ししてくれていることもありがたいことではある。

 余談だが,ガソリンスタンドに関わる全国ニュースになると,必ずと言っていいほど世田谷区八幡山の「ぜネラル」マークのGSの様子が映されるのだが,あそこは全国でも有数の量販店で,普段から給油客の列ができるようなGSなので,業界人としては全国のGSが皆あのように繁盛していると思われると心外である。それよりも,昨日のニュースでそのGSの看板価格が「147」(無論,税込み)だったことのほうが気になった。念のため,ガソリン価格検索サイト「gogo.gs」で調べたら「5万円プリカで給油した価格」だそうだ。「へぇ~,5万円のプリカが売れるんだ~,さすが世田谷」と二度びっくり。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ