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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.505『PTA』

オピニオン

2014-04-21

 4月になり,うちの三男坊が中学三年生になった。子どもが新学年を迎えるこの時期,家内はいつも落ち着かない。各クラスの親の中から2名ずつPTAの委員が選ばれるからだ。自分が選ばれやしないかと気が気でないのだ。無論,選ばれたくない,どうか今年度も役を免れますように願っているのだが,今回は選ばれてしまった。親しくしている同級生のママから電話があり,「和田さんが一番票が多かったのでお願いします」とのことであった。

 “一番票が多い”といっても,人格・識見によって票が集まったわけではない。大抵は,互選により,生徒名簿の一番上と下に書いてある人に票を入れるので,今回も五十音順の一番上の人と「下の人」,つまり「和田さん」が選ばれてしまったというわけ。「まったくもう,旧姓だったら決して選ばれないのに。アナタと結婚したばっかりに…」と,八つ当たりされる始末。今後,各クラスから選ばれた委員の中からPTA役員が選出されることになる。果たして結果はいかが相成りますやら。

 とにかく,PTA活動に参加したいと思っている父兄はほとんどいない。仕事,介護,育児などは断る理由とはならない。ほとんど“強制奉仕”である。そのため,選ばれた瞬間,泣き崩れて「わたしできません!」と叫ぶ人がいたり,「あんたやりなさいよ!」「あんたこそ!」とつかみ合い寸前の喧嘩になることもあるという。いまはやりの“男気ジャンケン”で決める学校もあるとか。ジャンケンに負けた人はこみ上げる喜びを必死にこらえながら「すみません,お先に失礼しま~す」─。

 実業界にもPTAのような存在,事業組合なるものが存在する。GS業界にも全国47都道府県すべてに「石油商業協同組合」がある。それらを束ねる全石連のホームページには『約2万社に及ぶ石油販売業者の経済的・社会的地位の向上と地域社会における石油製品の安定供給を図ることによって,石油販売業者の健全な発展と消費者の利益保護を目的として設立され,活発な活動を展開しています』とある。しかし,GS事業者は減少の一途をたどり,近年では元売販社による市況破壊を許すなど,とてもじゃないが「健全な発展」に寄与しているとは言い難い状況にある。

 昨年,公取が系列店の業転品購入を認めるよう元売各社に勧告した時には,石商は“我々の永年の訴えが聞き入れられた”とばかり,久々に存在感を誇示したのも束の間,したたかな元売に返す刀で流通経路証明書の添付を義務付けらてしまった。また,組合基金の運用の失敗なども,石商の権威を失墜させている。そんなこんなで,いまでは支部長やブロック長などの引き受け手がおらず,事実上休止状態となっている組合支部もあるらしい。それも仕方なかろう。みんな自分の店が生き残ることに精一杯で,GS業界の「地位の向上」や「健全な発展」なんか考えている暇などないのだ。

 また,系列店の中でも特約・代理店会などがあり,会長や委員長を引き受けて欲しいと元売支店の担当者から泣きつかれ,やむなく引き受けた経験をお持ちの方も多いのではないか。「引き受ける代わりにうちの仕入れ価格まけてくれよ」と要求する御仁もおられるとか。したたかですな。PTAも,親が役員を引き受けたら,インセンティブとして子どもの内申書に加点されるようにしたらどうだろう。そうなると今度は,PTAの役員になりたがる人が殺到してまた大変なことになるかも。それはそれで面白いが。

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