セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.506『日経新聞記事雑感』

GS業界・セルフシステム

2014-04-28

 4月14日付の日経新聞に『増税後も高値のガソリン どう動く独立系スタンド』との見出しがあった。記事の内容を要約すると,消費税増税直後,いったん増税分が転嫁されるものの,「販売競争が激しくなればガソリン価格は値下がりする」との見方が多かったものの,むしろわずかに上昇しており,その大きな要因のひとつは「いつもなら安値攻勢をかけるPBが価格を変えていない」からだとしている。そして,大型連休の需要期を前に,地域のプライスリーダーであるPBの動きが注視されると結ばれていた。

 なんとなく,“PBスタンド,意気地がないぞ。儲けなんか気にせずに値下げしろ”と挑発されているように感じたのは私だけだろうか。PBスタンドの経営者のはしくれとしてつぶやかせていただければ,毎回,十銭でも安いガソリンを仕入れようと仕入先各社の見積書を見比べ,現金で買って売り切らねばならないPBスタンドこそが,1㍑あたりの利益にこだわっているのであって,元売からの事後調整やマージン保証の恩恵を受けている系列GSの方がよっぽど販売価格について無頓着ではないかと思う。少なくとも日進市では。

 それよりも心配なのは,元売の100㌫子会社GSが,いまだ回復しない消費増税後の反動減に焦りを募らせ,製油所の定期修理シーズンを迎える前に売れるだけ売ってしまおうという魂胆も相まって,GW期間中に安売り攻勢に出る可能性が強いということ。消費税が5㌫の頃の感覚で値下げ合戦をやっていると,気が付いたら消費税分を引いたら儲けがゼロだったということになりかねない。日経新聞の記事どおり,PBスタンドが値下げに慎重なのだとすれば,やはりそのあたりの怖さをよくわかっているからではないだろうか。

 PBスタンドが利益度外視で量販する無鉄砲で愚かな輩と見られるのは心外である。まあ,中には本当にビョーキのように安売りする奴もいるにはいるが,ほとんどのPBスタンドの経営者は,安く売ったところで昔のようにすぐに販売量が回復するようなことはないと冷静に現状分析しており,ますますコスト競争力がモノを言う時代に突入したと認識しているはずだ。したがって,現在PBスタンドの何割がセルフなのかは知らないが,さらに一段とPBセルフが増えるのではないだろうか。

 再び日経新聞に目を転ずると,4月23日付の記事で,昭和シェル石油が7月から新しいハイオクガソリン「シェル V-power」を販売すると報じられていた。なんでも,伊・フェラーリ社とのあいだで培った技術を生かした最新の自動車技術に対応するハイオクガソリンで,従来よりも燃費向上するらしい。昭シェルは,バブル経済が幕をあけた1987年に「フォーミュラーシェル スーパーX」を発売し,業界で初めてハイオクレシオ(死語)を20㌫台に乗せるという快挙を成し遂げたのだが,夢よ再びということか。

 景気が上向いてきた昨今(私は全然実感ないが),顧客の志向が価格よりも品質に向くようになってきていると多くの経済アナリストが語っているが,石油会社もそのトレンドに乗っかろうとしているのだろう。それならそれで,新製品のブランド価値を貶めるような価格競争は即刻やめなければならないはずだ。もっとも,日経新聞には「販売競争が激しくなればガソリン価格は値下がりする」と,すっかり見透かされしまっているが…。

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