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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.508『カープ女子』

エンタメ・スポーツ

2014-05-19

 ひと昔前なら,野球観戦をする女の子なんて,幼い頃から野球好きの父親に球場に連れて行かれてファンになった“変人”か,野球好きの彼氏に付き合ってルールもロクに知らぬまま仕方なく観戦している女の子ぐらいだったのだが,いまや,野球にまったく興味のなかった女の子までもが球場で応援するという,一種の社会現象が生じている。人呼んで「カープ女子」。現在快進撃を続ける広島東洋カープを応援する若い女性ファンが,関東地方を中心に急増しているのだという。しかも,彼女たちは他のチームの女性ファンと比べて,圧倒的にカワイイのだそうだ。

 昨年リーグ3位になるまで15年間ものあいだBクラスに沈み続け,最後に優勝したのは23年前という弱小チームだが,一方で未上場ながら,39年連続で黒字経営を続けている稀有なチームでもある。黒字経営を続けるためには,選手に高い年俸を払うことができないというわけで,これまでに江藤 智,金本智憲,新井貴浩,黒田博樹といった主力選手をFA移籍というかたちで事実上放出してきた。恐らく,今シーズン終了後には,エース・前田健太をメジャーに高値で売り飛ばすだろう。GSに例えるなら,無理な安売りや過大な販促を厳に慎み,数量を追いかけず堅実経営に徹する店に似ている。

 そうは言っても“勝ってナンボ”のプロ野球,万年Bクラスのままで良いわけがない。とりわけカープの選手育成力の高さは昔から定評がある。私はマエケンが台頭してきた2010年頃から,投手力が良く,有望な若手野手を多く抱えるカープが,4番打者さえ成長すれば優勝争いに加わってくるだろうとにらんでいた。そこへ昨年途中から待望の長距離砲・エルドレッドが加入し打棒を爆発させ,案の定,リーグ首位を快走している。カープ女子の黄色い,いや,赤い声援のボルテージはいや増すばかりだ。

 エルドレッドの年俸は推定5千万円。阪神・マートンの7分の1ほどだ。カープの選手年俸総額は約20億円で,巨人の半分以下,ヤンキース・田中将大ひとり分とほぼ同額だ。もし,このままカープが優勝してしまうようなことになれば,まさにローコスト経営の勝利と言えよう。

 カープは他球団と違って親会社からのバックアップが得られず,特定の企業に依存していないことで「市民球団」のイメージが色濃いが,市民が直接株式を保有しているわけではない。実態は東洋工業・創業家である松田一族の同族経営会社なのである。したがって,他球団のように毎年赤字を出しても,親会社から宣伝費の名目での補てんを受けることができない。これまたGSに例えるなら,“親方元売”の100㌫販社店のように採算を度外視してまで量を追及することができない,独立系の個人経営店のようなものだ。カープ女子たちが語るカープの魅力も,「大型補強に頼らず,自前の戦力で強い相手に立ち向かってゆく健気さ」にあるのだとか。ただただ強いだけではダメということか。

 だが,カープファンには申し訳ないが,私はカープのいまの勢いもそれほど長くは続かないと観ている。このチームが優勝を目指すうえで,非常に大きな障害があるのだ。それは,野村謙二郎というがヘボ監督が指揮を執っているということ。カープファンのあいだでも野村采配はすこぶる評判が悪い。同じ野村でも,野村克也が監督だったら,いまごろカープは黄金時代を迎えていたであろう。ただし,そうなると野村サッチーがカープ女子の仲間入りということになるので…。

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