セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.51『ネーミング』  

社会・国際

2005-03-14

 中部国際空港「セントレア」が完成して1ヶ月が経った。ターミナルビル内には、レストランや免税店、展望風呂まであり、連日大勢の観光客でにぎわっている。今年に入ってから、名古屋市内にも新しい商業施設が次々にオープンし、今月25日には、いよいよ万博も開催されるとあって、いまやちょっとした“ナゴヤブーム”なのだそうだ。

 名古屋と言えば、日本で3番目の経済力を誇る都市なのだが、同様の立場にある米のシカゴ、仏のマルセイユ、中国の天津などと比べると、国際的知名度はめちゃくちゃ低い。それどころか、京都や広島や札幌にも及ばない。そこで、愛知・名古屋の自治体や経済界には、今回のブームに便乗して、何とか“国際都市”の仲間入りを果たしたいとの思惑がみなぎっている。そのことを示した一つの出来事が、「南セントレア市構想」であった。

 常滑市に近接する、知多半島の二つの町が、合併を機に新しい市の名前を、新空港人気にあやかって「南セントレア市」にすると発表したことから大騒ぎとなってしまった。「ぎゃーこく(外国)の町みてぇあでカッコええがや」「そんなトロくっせゃぁ名前いかんて」と喧々諤々の末 住民投票が行なわれ、この名称は圧倒的多数で却下されてしまった。それだけではない。そもそも、まだ合併するかどうかも決まっていないうちから、町長たちがすっかり舞い上がってハイカラなネーミングをぶち上げたものだから、反発した住民は合併計画そのものにノーを突きつけ、すべてを白紙にしてしまったのだ。もう笑うしかない。

 ガソリンスタンドのネーミングにも、経営者の様々な思い入れが込められている。しかし、私はかねがね、ガソリンスタンドという所は、ドライバーが好きで行く所ではなく、給油のために仕方無く行く所であると思っている。そんな場所に「ハートフル」とか「フレンドリー」なんて名前を付けるのは、何だか勘違いしているように思えてならない。「スマイルプラザ○○」なんてスタンドに限って、無愛想な従業員が出てきたりする。名前負けどころか、“看板に偽り有り”である。そもそも、「サービスステーション」という呼び名自体が、何十年経っても一向に定着しないではないか。いい加減にやめたらどうでしょうかねぇ。

 ところで、この間、若者たちの会話に耳を傾けていたら、「おれ、セルフに寄ってから行くからさー」なんて喋っているではないか。いまや、「セルフ」はガソリンスタンドの代名詞になったのかと嬉しくなってしまった。業界人が幻想を抱きつつ苦労して付けたネーミングなど気にも留めず、消費者たちはガソリンスタンドの本質を見抜き、それにふさわしい名称で呼んでいるのだ。そう、これからはガソリンスタンドは「セルフ」、そうでないスタンドは「ノンセルフ」と呼ぶことにしよう。どえりゃ~分かりやすいがや!

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