セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.52『セルフスタンドでの洗車業とは』

GS業界・セルフシステム

2005-03-21

 花粉舞い散る季節が到来し、日本の人口の10㌫を超えると言われる花粉症患者の一人である私も、連日くしゃみをしては鼻をかむという作業を繰り返している。花粉と共にこの時期日本に降り注ぐのが黄砂である。主としてゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などから偏西風で運ばれた大量の砂が、日本列島に降り注ぐのだ。こちらも、アトピーを悪化させるなど人体に良からぬ影響を及ぼすそうだが、多くのガソリンスタンドにとっては歓迎すべき存在である。黄砂によって日本の自動車は真っ黄色になり、いちいち声かけしなくても、洗車台数の大幅アップが見込めるからだ。

 タイヤやオイルやバッテリーなどの自動車関連商品の市場を次々にカーショップに奪われたガソリンスタンドにとって、いまや洗車は“最後の油外商品”といえる存在である。近年では手洗いによる高品質の洗車を売り物にする店も増え、洗車収益が油外収益のかなりの部分を占めつつある。だが、最も来店客が多い時間帯こそ最も洗車売上が見込めるのにもかかわらず、多くのスタンドでは、スタッフが給油や誘導や窓拭きなどの作業に追われ、それが叶わないという状況が見られる。車を磨き始めれば始めたでそれに専念することもできず、客を待たせたりすることもしばしばである。洗車システムや作業マニュアルがあるにはあるが、人手不足の中ではなかなか思い通りに行かないのが現状だ。

 セルフスタンドの登場は、スタッフを給油などの雑務から解放し、洗車作業に専念できる環境を作り出すはずだったが、事はそう簡単ではない。多くの客は洗車機で1回三百円の洗車をした挙句、洗車場でトロトロと拭く始末。これじゃあ、洗車機がないほうがもうかるんじゃないだろうかと思ったりする。一方、手洗い・磨き上げ洗車の看板を掲げるセルフスタンドの多くも、目標台数に届かず苦戦している店が少なくない。その理由はいろいろあるのだろうが、ひとつの大きな理由は、“専業意識”に欠けることではないだろうか。

 セルフ化されたあとも、店長以下スタッフがいまだに、「自分はガソリンスタンドの従業員だ」と思っているうちは、いつまで経っても洗車収益はあがらないだろう。大体、洗車を「油外」などという呼び名で添え物商品扱いしていること自体が間違いだ。もし洗車収益を上げたいのなら、「油外」なんて単語は禁句である。セルフ化を機に「うちは洗車の店で、ガソリンは“洗車外商品”として売っている」という意識を持たなければいけない。ユニフォームも元売り指定のものを脱ぎ捨て、洗車専門店のものを着用すべきだ。

 店舗レイアウトもそれに沿ったものに改造しなければならない。洗車作業場はいやでも給油客の目に入る“一等地”に据える。そのための場所を確保するためだったら、アイランドの一つぐらい取っ払ってしまえばよい。洗車を待つ客のためのゲストルームは、一般給油客は立ち入れないようにして差別化する。そのほか、有形無形の様々な施策を講じて、客にも従業員にも、「ここは洗車の店」と認識させることが重要なのだ。

 そのような改革を可能にするかぎは、給油施設を限りなく無人に近い仕方で運営することにある。給油オペレーションは洗車の片手間でできるようなものにすることが必要だ。操作も管理も簡単なセルフシステムを採用することで、計量機は「ガソリンの自販機」という位置づけとなり、経営資源をすべて洗車に投入することが可能となるのだ。洗車に限らず、車検にせよ、板金にせよ、セルフスタンドではそれらが“本業”となるべきだ。

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