セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.524『ちゃんと見ている』

GS業界・セルフシステム

2014-09-08

 『先月27日,佐賀県はセルフ式ガソリンスタンドの精算機に残っていた釣り銭五千円を持ち帰ったとして,50代の課長級男性職員を停職2ヶ月の懲戒処分にした。職員は7月9日夕,佐賀市内のGSで自家用車に給油する際,精算機に残っていた五千円札1枚を持ち帰った。釣り銭を取り忘れた客から連絡を受けた店側が同日,佐賀署に被害を届け出,その後,防犯カメラの映像などから職員を特定。職員は8月12日に窃盗容疑で書類送検された。

 職員は「釣り銭を抜かないと次の給油ができなかった。返そうとしたが,前の客も店員もいなかった。持ち帰ったことで盗みを疑われると考え,返せなくなった」と話しているという。佐賀県の古川 康知事は「言い訳のできない行為で,県民におわび申し上げます」とのコメントを出した』─8月27日付「佐賀新聞」web版。

 私の知人も,セルフスタンドで精算機に五千円札を入れてガソリンを千円分給油し店を出たのだが,釣り銭を取り忘れたことに気付いてあわててGSに戻った。しかし,もはや釣り銭はなくなっており,あきらめて帰ったという。「セルフスタンドには防犯カメラが付いているんだから,店で調べてもらえばよかったのに。もしかしたら店で保管してくれていたかもしれないよ」「そうなんですか。そこまで考えがまわらなくて,ただただがっかりして帰ってきました」─。

 私の店では7~8割の客がプリカで給油しているが,給油が終わってもまだプリカに残金がある場合は,返却口からプリカを抜くまで「ピーピー」と音が鳴り続けるのだが,それでも年間に十数件もの取り忘れがある。大半は店側で保管し,日時や車種などを記したメモと一緒に保管しておくのだが,取りに戻ってくる人はごくわずか。まだ残金が半分以上残っている一万円プリカなんて,そうそう簡単にあきらめられないと思うのだが…。

 冒頭の公務員氏は,「返そうとしたが…店員もいなかった」と話しているとのことだが,セルフGSは無人だと思っている客は少なくないようだ。誰も見ていないと思えば,良心の声に逆らって悪行をしようとする人もいるだろう。悪行ではなくても,奇行や乱行に及ぶ客もいる。大抵は深夜だ。給油しながら大きな声で歌う人もいれば,アイランドに腰を下ろしてコンビニ弁当を食べはじめる人もいる。券売室に手をつないで入ってきたと思ったら熱いキスを交わすカップルもいた。勘弁してくださいよ。

 フランスに本社を置く世界第5位の石油メジャー「トタル」は,世界各地に17,000ヶ所のGSを展開しているのだが,それらのGSの監視カメラが捕らえた給油客の愉快な映像を,B・J・トーマスの名曲「雨に濡れても」に乗せて紹介するCM映像は必見だ。監視カメラが見ているとは露知らず,カツラを脱いで頭を掻く男性やパンストをはく女性など,爆笑間違いなし。そしてCMの最後に流れるフランス語のナレーションがまたニクイ。“料金が安いからといって,お店にだれもいないとは思わないでください”─こんなCM,日本の元売には絶対に作れないだろうな。

 話は少々脱線したが,とにかく監視カメラは,人間の内奥に潜む出来心を抑える“天使”の役割を果たすと同時に,そこで起きた出来事の真実をありのままに記録する“証人”としての役割も果たす,セルフスタンドにはなくてはならない存在であることは間違いない。さて,きょうはどんな人々が“出演”するのやら…。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ