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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.530『輝く女性って?』

オピニオン

2014-10-20

 第二次安倍改造内閣の“目玉”だった女性閣僚が,同じ日に二人も辞任してしまった。二人とも自らの政治活動における不手際が原因であり,政策面での失敗などによる辞任ではなかったが,前回,不祥事を追及された閣僚をかばい続けたことが裏目に出て政権の弱体化を招いたことへの反省から,今回はさっさと辞表を出させて幕引きをはかったとのことだ。

 「女性が輝く社会の実現」を重要政策に掲げ,歴代内閣で最多の五人の女性大臣を配し“さあこれから”というところでズッコケたのは,高支持率を維持してきた政権にとっては痛手だろう。だが,そもそも「女性が輝く社会」とは何なんだろう。具体的には,女性が結婚・出産後も働き続けられるよう制度や社会の仕組み作りを促進してゆくことのようだが,女性が男性と同じように働き,なおかつ管理職となる機会が平等に与えられるようになれば,それで「輝く」のだろうか。

 もちろん,男は外で働き,女は家庭を守ると決まっているわけではないが,それを女性蔑視と決め付けることもなかろう。あるシンクタンクの調査によれば,一般的な専業主婦が行なう家事をすべてアウトソーシングすると,その費用は1ヶ月約80万円にもなるという。家事は価値あるりっぱな仕事なのだ。問題は,自分の給料よりもずっと高い給料をもらってしかるべき仕事をタダでやってくれる妻に,何の感謝も敬意も払わない男たちにあると言えるだろう。

 あるPBスタンド経営者は,会社の経理や仕入れを任せている妻への感謝をこめて,二人だけで北海道旅行に出かけたそうだ。「いや~,何十年ぶりかで旅行に連れて行ったんだけれど,あんなに喜ぶとは思わなかった」と経営者。「社長,旅先でどこそこの量販店を見物して行こうとか言わなかったでしょうね」「仕事のことは考えまいとコラえて,ひたすらカミさん孝行に徹しましたよ(笑)」─。

 旅行や品物をプレゼントすれば妻が喜ぶのではない。感謝や敬意のこもった気持ちこそが大切なのだ。男女にかかわらず,自分がだれかに必要とされていて,その働きを評価されていると感じることができれば,人は「輝く」ことができるのだと思う。権謀術数渦巻く政治の世界で,絶え間ない緊張にさらされながら身を削る人が,私にはちっとも輝いて見えないのだ。とりわけ,男たちに見下されてなるものかと,痛々しいほどに肩肘張ってがんばっている女性たちを見るにつけ,輝くって大変だな,輝くって幸せなことなのかな,と思ってしまう。

 だいたい,女性を輝かせよう,輝かせてやろうという発想自体が,男性社会の上から目線的なものであって,本当に実力のある女性は,男の助けを借りなくてもバリバリ出世している。要は性別ではなく,能力の問題だ。また,いまどき,能力がある人材を,女性だからという理由で評価しようとしない企業なんぞ,グローバル社会では到底生き残れないだろう。ちなみに,日本の石油元売会社では,いまだかつて女性が経営者となったことはない。

 ところで,米国にはこんな笑い話がある。ビル・クリントン大統領が妻のヒラリーとドライブに出かけ,途中でガソリンスタンドに立ち寄ったところ,そのGSの店主はヒラリーの昔のボーイフレンドだった。「ヒラリー,ボクと結婚してよかったね。もし彼と結婚していたら,君はいまごろ田舎のGSのおカミさんだったんだから」「何言ってるのよビル。彼がワタシと結婚していたら,いまごろ彼が大統領になっていたわよ」─。

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