セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.569『市況未だ波高し』

GS業界・セルフシステム

2015-08-03

 先週金曜日に,日進市内で長らく休止中だったGS店舗が,24時間セルフとしてリニューアルオープンした。愛知県で20ヶ所以上を展開している安売り量販チェーンによる運営で,市内の市況は一気に10円近く下落した。詳しくは,ガソリン価格検索サイト「gogo.gs」で検索されたし。(心臓の弱い人は見ないほうがいいかも) ただでさえ元売各社の大型店が熾烈な価格競争を繰り広げているところへ,「安売王」を標榜する新たなPBセルフが参入し,いまや日進市は愛知県で最もガソリンが安く給油できる地域となっている。『ガソリンの安い町・にっしん』なんてキャッチコピーで,町おこしでもすればいいかも。

 そんなふざけたこと言っている場合じゃないだろ!と叱られてしまうかもしれないが,実際のところ,どうすることもできないし,しようとも思わない。業界人からすれば,ガソリンの安売りはけしからん行為ということになるが,一般消費者から見ればこれほどありがたい事はない。ガソリンを安く売るとことは,りっぱな社会貢献活動とも言える。他店より1円でも安く売るために仕入れ方法や配送手段,販売システムを工夫することを“企業努力”と言わずして何と言おう。

 一方,そうした努力を積み重ねることなく,ただただ売り負けまいとして価格競争に参入する元売系列店の存在がある。自慢のカーケアシステムやポイントサービスなどで,価格だけでない顧客満足を追求するはずではなかったのか。ローコスト経営による低価格販売を蔑視し,非難してきたそれら系列店が,量販店が進出してきた途端,“やられたらやりかえす”とばかりに原価割れ販売をしているのを見ると,日ごろは付加価値の追求だの,接客力の向上などとカッコイイこと言っていても,結局は価格かよ!とツッコミを入れたくなる。しかし,それが“真理”なのだ。

 要は,価格競争はこれからも続くと認識した上で,冷静に自分の店のポテンシャルを分析し,身の丈にあった方式で販売してゆくしかないということ。例えば,私の店は日進市のはずれにあって,田んぼと山ばかりで周辺の人口密度は低い。前面道路の交通量も多くなく,朝夕の渋滞もない。こんな場所で無茶苦茶な安売りをしても,赤字が膨らむだけだろう。件の安売り量販店のように,一時的に赤字を出したとしても,チェーン店全体でカバーするということもできないので,まともに対抗するのは自殺行為だ。元売CA店のように,粗利が幾らあるかなどということを考えずに,本部から言われたとおりにやっていれば良いのならずいぶんと気楽だが,自由にやりたいと選んだ道なのだから,覚悟している。

 明らかなことは,日本国内のガソリン需要はこれから毎年確実に減少していくということ。これまで圧倒的な販売量を誇ってきた店舗でも,いや,むしろそうした店舗のほうが,減販のダメージを実感することになるだろう。実際,エクソンに続き,シェルも日本法人を売り払って,事実上の日本撤退を決定した。石油メジャーは,もう日本という市場に将来性がないことを冷徹に判断し,見切りを付けていると言っていい。そんな状況なのだから,日進市というコップの中で嵐が生じていても,一軒また一軒とGSが無くなってゆけば,いずれそれなりの秩序というものが形成されてくるのではないか。問題は,そうなるまでに自分の店が生き残っているかということだ。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ