セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.573『セカンドオピニオン』

オピニオン

2015-08-31

 『主治医とは別の医師に診療内容や診断結果について意見を求める「セカンドオピニオン」を巡り,医師専用の情報交換サイトを運営する「メドピア」が約3,900人の医師を対象に意識調査した結果,8割超が,他の医師にセカンドオピニオンを求めたいと患者から要望されても不快に感じないと答えたことが分かった』─8月28日付「毎日新聞」

 日本では,セカンドオピニオン(以下SO)を切り出すと,医師との信頼関係を壊してしまうのではないか,もっと分かりやすく言えば,先生の機嫌を損ねてしまうのではないかと心配でなかなか言い出せないという患者が多いようだが,今回の調査によれば,大多数の医師は「患者の当然の権利」,「より客観的で多角的な診療が可能になる」など肯定的にとらえているとのことだ。

 一方で,SOを患者に求められると「診療内容を否定された気分になる」「自分が信頼されていないという徒労感がある」などと答えた医師もいたとのことだが,“一体貴様は何様のつもりだ”と言いたい。家電製品や自動車などを購入する場合,複数の製品の価格や性能を比較して選択するのが当たり前だ。ましてや自分の命にかかわるようなことを,たった一人の医師にしか相談しないなんてクレージーだ。

 今年5月に54歳で亡くなった俳優・今井雅之は,昨年秋に体調がすぐれないために都内の病院で診察を受けたところ,「腸の風邪」と診断され,薬を処方された。しかし2ヶ月近く経っても体調が回復しないため, 仕事で出向いた西宮市の病院で再度診察を受けたところ,ステージ4の大腸がんで緊急手術を受けたが,「時既に遅し」となってしまったとのことだ。彼がSOを受けていたら助かったかどうかは分からないが,もう少し別の結果になっていたかもしれない。大病院でも信用できないことは,“とにかく腹腔鏡!何が何でも腹腔鏡!”の群大病院の例からもわかる。へたに医者の見立てを信用すると命取りになりかねない。

 ここまでくれば,読者の皆様は私が何を言いたいかおわかりだろう。そう,ガソリンスタンド経営も,SOが必須ということ。私のような「主治医」を持たないPBスタンドはともかく,系列GS経営者は,元売から提示される処方箋(見積書)をそのまま受け入れていたら,どんどん体力を奪われてしまう恐れがある。事後調整の際も,大手が優遇されて,零細店が後回しにさせられる図式も,何となく大病院の患者と似ている。

 実際の医師のほとんどがSOを歓迎しているのに対し,元売は,特約店が“別のところでも診察を受けたいんですが”と相談しようものなら不快感丸出しで圧力をかけてくる。そんなによそに行かれるのが嫌なら,もうちょっと患者さんを大切にしろよと言いたい。もっとも,主治医の顔色なんか気にしている場合じゃないと,せっせと第二,第三の仕入れルートに通院しているGS経営者もたくさんいるのだが…。

 SOと並んで,いまや医療現場では当たり前となっているのが,患者に治療方針や方法などを判りやすく説明し,同意を得る「インフォームドコンセント」だ。元売がSOを許さないというのであれば,せめて,系列ルートで仕入れることによって享受できるメリットとデメリットを丁寧に説明して,納得してもらう努力をすべきだ。ついでに,系列100㌫子会社のGSが,卸値よりも安い小売価格で売れるのはなぜか,なぜあんなことを続けても経営が続けられるのか,「マル秘健康法」をアドバイスしてあげたら喜ばれるかもしれない。

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