セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.576『シルバーウィークに思う事』

社会・国際

2015-09-21

 秋の大型連休を「シルバーウィーク」と呼ぶのは,春の「ゴールデンウィーク」に対してなのだそうだ。てっきり,「敬老の日」がからんでいるからそう呼ぶのかと思っていたが─。今年は,2009年以来,19日から23日までの5連休となることから,観光や行楽に出かける人たちで飛行機や新幹線は満席状態,高速道路も大渋滞となっているらしい。ちなみに,現行の祝日法の規定が変わらないと仮定した場合,今回のような連休が次に来るのは,2026年だそうだ。

 日本自動車連盟(JAF)の調べによれば,昨年度,燃料切れによる高速での救援要請は1万1467件もあったそうで,タイヤのパンク(2万8335件)に次いで多い数字とのことだ。それもそのはず,全国の高速道路で100㌔以上給油できないガソリンスタンド空白区間は83ヶ所,150㌔以上は16ヶ所もあり,NEXCO各社は,大型連休中の早めの給油を呼びかけている。

 需要減少と過当競争が招いた,当然といえば当然の結果だが,最近では,ハイブリッド車などの普及で,GSに行く回数が減ってきているため,ドライバーが“給油する”ということを忘れてしまう傾向にあるのだとか。業界人にとっては,ますます憂鬱になる昨今の現象である。

  GSの必要性が叫ばれる地域もあるかと思えば,GSを作らせないと訴えている地域もある。報道によれば,京都市の世界遺産・仁和寺境内の隣接地に,出光GSとローソンを併設した24時間店舗を建設する計画があり,同寺と近隣住民らが景観と住環境が悪化するなどとして,今月17日に,事業者に計画の白紙撤回などを求める調停を簡裁に申し立てた。店舗建設予定地は,世界遺産条約に基づき,景観を守るために定められた緩衝地帯内にあるとのことで,申立人側は,「景観が悪化するだけでなく,車や人が集まって騒音を引き起こし,火災の危険性も高まる」と主張している。

 “スタンドはんも,コンビニはんも,そんなにぎょうさん作らんかてよろしゅうおますがな”と言いたくなるような話ではあるが,もし,仮にGSを作ったとしても,日本,いや,世界一厳しい消防検査・査察を受けることになるんじゃないだろうか。そんな店のマネージャーやる人,大変だな…。

 ところで,GWもSWも,もともとは大映という映画会社の宣伝部長だった松山英夫という人が,1951年に,プロモーションの一環としてそれぞれの大型連休に命名したことがはじまりらしい。その後,GWのほうは定着したのだが,SWのほうは定着することなく消えてしまった。やがて,テレビの普及と共に,映画産業自体が衰退し,1960年代に入ると,乱立状態だった全国の映画館は急速に減って,1990年代半ばには最盛期の30㌫足らずとなってしまった。その後,映画館の数え方は,小屋の数ではなく,スクリーンの数でカウントされるようになり,現在,映画会社直営の複合施設「シネマコンプレックス」が,業界の主要勢力となっている。どこかの業界とよく似た変遷だな…。

 ちなみに,日本に映画館がもっともたくさんあった1958~59年のシルバーウィーク期間中に封切られた映画にどんな作品があるか調べてみた。58年には『死刑台のエレベーター』,59年には『北北西に進路を取れ』が公開されている。どちらも,映画史上にいまなお輝きを放つ名作だ。私のように人混みが苦手という方は,是非連休中にDVD鑑賞なさることをお勧めする。

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