セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.578『ツバメとタカ』

エンタメ・スポーツ

2015-10-05

 今年のプロ野球・セントラルリーグの覇者は東京ヤクルトスワローズに決まった。前年最下位だったチームが優勝するのはセ・リーグでは39年ぶり4度目の快挙だそうだ。スワローズは前年もチーム打率はリーグトップだったので,投手陣が底上げできればAクラス入りは十分可能と見られていたが,まさか優勝するとは。監督一年目で快挙を成し遂げた真中満監督は,10月3日付「スポーツ報知」に寄せた手記でこんなことを述べている。

 『ターニングポイントは5月の9連敗だった。5連敗していた時に3連敗中の阪神と対戦した(5月13日・神宮)。その時に(敵将の)和田さんも弱気だったんだろうね。普段はバントをしない場面でバントをしたんだ。それを見て“これだ”と思った。これをやっちゃいけないんだと。実は俺も同じことをやろうと思っていた。その試合は負けてしまったけど,これからは冷静に自分のやりたいようにやろう,ブレちゃダメだと思った』─。

 まあ,優勝したから言えることではあるが,確かに真中ヤクルトは送りバントがリーグ最少で,1番打者から8番打者まで,ガンガン振ってくる。その象徴が,後半戦から2番打者に座った川端慎吾。本来“つなぎ”の打順にもかかわらず,バントを決めたのはわずか2回。打ちまくって首位打者のタイトルを手中にした。

 これをGS経営に当てはめるなら“価格ではなくサービスでお客様に選んでいただけるお店作りをする”との決意で臨んだのであれば,ちょっと販売量が落ち込んだからといってジタバタせずに,自分たちが追求するサービスを自信を持って提供してゆくべきだ,ということになろう。あるいは,元売の仕入れ価格が業転価格と開きがあるからといって,コソコソせずに,系列マークのブランド力や販促システムを信じてキャンペーンに邁進するなら道が開ける…かもしれない。

 ブレないというと聞こえはいいが,ひとつ間違えばただの頑固者になってしまう恐れがある。状況に応じて柔軟に対応するのもまた,マネージメントの要諦である。パシフィックリーグでぶっちぎりの優勝を果たした,福岡ソフトバンクホークスの工藤公康監督も一年目。“そりゃあ,あれだけの戦力を持っていれば優勝できるだろ”と評する向きもあるが,工藤監督はクリーンアップこそ固定したものの,1,2番と7~9番は,流動的に調子や相性などを見極めながらコロコロ変え,90通りを越えた。こうした柔軟性が,どこからでも得点できる強力打線を生み出したのだ。

 GS経営に柔軟性を持ち込むのはなかなか難しそうだが,とにかくこの厳しい経営環境を乗り越えるためには,いままでやらなかったことをやってみたり,逆に,やってきたことをやめてみたりして,経営を持続してゆかなければならない。いずれにせよ,ブレない姿勢を貫く必要のある問題もあれば,柔軟に対応したほうが良い問題もある。その見極めが的確にできれば,GS経営なんぞ簡単なものだ。つまり,元売もGS業界も,それができないからこそ,今日まで苦しんでいるのだ。

 さて,プロ野球はこれから,あの馬鹿げた「クライマックスシリーズ」なるものを経て,日本シリーズへと向かうわけだが,私の関心は,ジャイアンツの次の監督がだれになるかということに向いている。ぜひ,ブレない心と柔軟な頭を兼ね備えた人に采配を振るっていただきたいものである。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ