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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.581『デロリアンに乗って』

エンタメ・スポーツ

2015-10-26

 2015年10月21日は,1989年公開のSF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』で,主人公がタイムマシンに乗って行く“未来の日付”だったということで,米国では,オバマ大統領自らがこの日を「バック・トゥ・ザ・フューチャーの日」と呼んで祝福ツイートを出したりして,かなりの盛り上がりを見せていたようだ。

 およそ四半世紀前に描かれた未来社会はどこまで現実のものとなっただろうか─。ウェアラブル端末やビデオ通話,顔認証システム,ホバーボード,ドローンなどは今日,実用化されている。ちなみに,シューズメーカーの「ナイキ」は,映画に出てくる,自動で靴紐を調整する機能の付いたスニーカーを限定販売すると発表した。そんなもんいらんけど…。

 しかし『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに登場する最も有名なガジットといえば,やはり,タイムマシン搭載自動車デロリアンだ。PART1のラストで,未来から帰ってきた博士が,主人公とその彼女に,「キミ達の未来が大変なことになっている!すぐ行こう!」と叫び,2015年の未来に改造されたデロリアンの燃料タンクに生ゴミを詰め込み,さあ出発。「博士,(滑走に必要な)道路がないよ」「道路?そんなものは必要ない」─。スタートボタンを押すとデロリアンは垂直に離陸したあと, PART2への期待を乗せて時空の彼方へ一直線,そしてエンドロール。

 ゴミや廃油などをリサイクル燃料とする自動車の開発は,大企業からベンチャー企業に至るまで,様々な試作車が開発されている。日本でも「バック・トゥ・ザ・フューチャーの日」のイベントが行なわれたが,伊勢丹新宿前の会場に登場したデロリアンは,古着に含まれる繊維から精製されたバイオエタノールを燃料として走行するというものだった。空は飛ばなかったけれど…。

 もし『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の予測した2015年が実現していたら,我々GS業界は消滅していたことになる。人類にとってはそうなっていたほうが良かったのだろうが,四半世紀ぐらいでは,エネルギーの構造転換は成し遂げられなかった。人類は相変わらず石油を掘り続け,消費し,ゴミを出し続けている。滅びなかっただけマシなのかもしれない。

 映画を配給したユニバーサルは,今回お祝い動画を製作したが,その中で,クリストファー・ロイド(御歳77)扮する博士が,観客に向けてこう語りかける。「わたしの計算が正しければ,きょうは2015年10月21日ぴったりのはずだ。ついに未来はやってきた。もちろん,わたしたちが考えていたものとは違うことだろう。しかし心配するな。それはすなわち君の未来はまだ決められていないということだ。誰も知らない。君の未来は君が決めるんだ。良い未来を作ってくれ」─。(拍手)

 GS業界も,遅まきながら「良い未来」を切り拓いてゆきたいものだが,あまり期待できそうにない。私自身はデロリアンに乗れるなら,むしろいまから30~40年前の,ガソリンが30円/㍑ぐらい儲かった時代に戻りたいな~。

 石油の未来にかかわる与太話をもうひとつ。NASAが2030年代に実現を目指す,火星有人探査において,マサチューセッツ工科大学は,月に氷と土を加工して燃料にする精製工場を建設したうえで,火星への航路に浮かぶ数ヶ所の宇宙ステーションに宇宙船が立ち寄り,燃料を補給できるようにするという計画を立案した。これによって,火星探査ロケットを打ち上げる際に,大幅なコスト削減を図れるらしい。

 宇宙にガソスタか…地上での教訓を生かして,くれぐれも過当競争に走らぬよう忠告申し上げる。ところで宇宙での給油はセルフなのかなぁ…。

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