セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.585『最近の出来事について』

GS業界・セルフシステム

2015-11-23

 先週のコラムで,JXと東燃の統合が実現すると日本のガソリンシェアの8割が,二大グループに占められることになり,両者であくまでシェア争いを続けるようなことになれば,業界はPBも巻き込んでの“最終戦争”に突入するかもしれないなどと書いた。少々大袈裟なことを書いちまったかなと反省していたら,今月18日から,愛知県常滑市で,PBスタンド同士の凄まじい戦争が勃発した。「コストコ」常滑りんくう店の併設GSがオープンしたと同時に,同店の目と鼻の先にある,8月にオープンしたばかりの地場大手PB店との間で“地域最安値店”の称号をかけた値下げ競争が始まったのだ。

 18日以降,一日のうちに何回も価格が変わる(下がる)ので,いま現在,両店のガソリン価格がいくらになっているのか正確にはわからないが,先週末の時点で,税込価格が90円を切ったとのことで,周辺GSのみならず,愛知県,そして全国のGS業者にも衝撃が走っている。それにしても税込90円って…消費税とガソリン税を除いたら,原油価格より安い!ワシもコストコ会員になって,タンクローリーで倉獲りしに行こうかな。いずれにせよ,この闘いが今後どのような展開となるのか,全国のGS業者が固唾を呑んで見守っていると言っても過言ではあるまい。

 身の毛立つ価格戦争の一方で,こんなほのぼのとしたニュースもある。

 『沖縄県名護市東海岸の二見以北10区に,7年ぶりに給油所が開業した。13日,名護市瀬嵩(せだけ)で式典があり,給油のために西海岸まで出掛けていた住民が喜び合った。開業したのは,JA久志セルフSS。2008年に瀬嵩の給油所が閉店し,10区では給油ができなくなっていた。地域の要望を受け,JAおきなわで初となる「コンパクトセルフ型」の店舗を整備した。「総工費は約3千万円に抑えたが,収支見通しはぎりぎり」(砂川博紀社長)だという。開設を働き掛けたJAおきなわ青壮年部の山城悟委員長は「このともしびを二度と消さない」と宣言。式典では地元の子どもたちがエイサー(沖縄の伝統舞踊)で開業を祝った』─11月21日付「沖縄タイムス」。

 GSが“地域のともしび”と呼ばれていることにグッとくる。私たちは時おり“もし自分の店がなくなってしまったら困る人がどれぐらいいるだろうか”と自問してみる必要があるかもしれない。元売のみなさんも,自分たちの系列店,とりわけ自社物件のGSが,本当に社会インフラとしての役割を果たしているかどうか,統合を契機に見直してもらいたい。同じマークのGSが軒を並べて価格競争を繰り返すようなみっともないことはやめていただきたい。また, 今回のGSは「コンパクトセルフ型」とのことだが,行政当局も消防法などの規制を出来る限り緩和して,セルフスタンドがローコストで建設・運営できるよう後押しすべきだ。

 GS経営者はだれもが,ひとりでも多くのお客様に来店してほしいと願っているが,こんな客は願い下げである。

 『19日,岩手県北上市のガソリンスタンドで,注意された従業員に腹を立て,車ではねて殺そうとしたとして,無職の男(55)が殺人未遂容疑で逮捕された。男はスタンドの順番待ちをしていた車列の反対側から侵入。従業員から注意され,給油機を蹴って現場から立ち去った後,再び給油所に戻り別の男性従業員(43)を,運転する軽乗用車ではね,頭部打撲など全治約1ヶ月の重傷を負わせ現場から逃走したが,約1時間半後に警察に発見され逮捕された』─11月21日付「毎日新聞」地方版。

 社会に蔓延している鬱屈した気持ちは,とりわけ年の瀬など,人やお金の動きがにぎやかになる時期に,暴力や蛮行となって顕在化しやすいのだそうだ。安売り店も怖いけれど,理性を失った人間はもっと怖い。 

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