セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.591『暖冬』

GS業界・セルフシステム

2016-01-12

 「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングが今月7日に発表した2015年9~11月期 (第1四半期)決算は,営業利益が759億円と,前年同期を16.9%下回った。同期間としては4年ぶりの減益で,同社幹部は記者会見で,「想定を超える暖冬だったことに加え,暖冬でも売れる商品構成になっていなかった」と業績不振の理由を説明した。

 とにかく,異常な暖かさが続いている。先日,沖縄旅行に行った知人は,予想を上回る暖かさ,というよりも,暑さに驚いたとのこと。毎年,この時期はスノボー三昧の別の知人も,今年はまだ一回しか行っていないとぼやいていた。スキー場をはじめ,全国の様々な冬の景観や風物を売り物にしている観光地の経済は大打撃を受けている。

 そして,我々にとって何よりも大きな影響は,灯油がさっぱり売れないことだ。11月の灯油販売は,142万キロ㍑で前年比15%減,12月も18%程度と大幅に減少している。『JXエネルギー関西支店によると,12月の大阪府内のガソリンスタンドへの灯油販売数量は前年同月比で約3割減と大幅な下げ』(1月9日付「大阪日日新聞」)になるなど,各地で嘆きの声が上がっている。

 折りしも原油価格は約12年ぶりの安値となり,灯油の業転価格は10日現在32~3円で推移しており,日進市では一缶あたりの店頭価格が9百円台割れ寸前まで下がっているが,いくら安くしても必要ないものを買う客はいない。まだ3月上旬までは商機があるものの,この調子だとあまり期待できそうにない。

 農家では,白菜や大根の成長が早すぎて,価格が例年の半値まで下落。出荷しても赤字になるだけとして処分するという悲しい状況が生じているとのこと。しかも,そうまでして採算価格を維持しようと努めても,この陽気で鍋料理やおでんの需要が振るわず,弱り目に祟り目となっているらしい。私のように,夏でも鍋やおでんで一杯やっている人間ばかりならいいのだが。 ところが,そのお酒も,冬場の仕込み(酵母発酵)にとって大切な温度管理が暖冬で狂ってしまい,酒造会社は苦労しているのだそうだ。

 一方,暖冬でアイスクリームや自転車など,売上を大きく伸ばしている商品もあるようだが,やはり,暖冬がもたらす影響は,悪いことの方が大きいようだ。もっとも懸念されることは,生態系に及ぼすものである。例えば,熱帯系の外来生物など本来冬を越せない生物が春まで生き残ってしまうため,生態系のバランスが崩れたりして人間の生活にも害を及ぼすおそれがある。また寒い冬がなくなると,マラリアや西ナイル熱など,熱帯性の感染症が日本で流行する危険性があるという。確かに,いまドラッグストアに行って“マラリアに効く薬ください”と言っても手に入らないだろうから,いまのうちに備えておく必要があるかもしれない。

 暖冬の原因は,「エルニーニョ現象」といわれているが,はっきりしたことはまだよく分からない。太平洋の赤道中央から南米のペルー沿岸にかけて,海面の水温が平年より高くなる現象で,これが異常気象を引き起こすらしいのだが,不気味なのは,暖冬の年には大きな地震や台風が発生する頻度が高いということ。21年前の阪神淡路大震災の時も,エルニーニョではなかったが暖冬だった。

 GS業界も,このまま安売り合戦をヒートアップさせると,震災並みの災禍を招くことになるのではないか。愛知県のGS業界の市況はまさに“異常気象”状態が続いている。とりわけ日進市の市況は,価格比較サイト「gogo.gs」をご覧いただければお分かりのとおり,採算値を大きく下回る価格看板が林立している。系列・PB関係なく,まるで“プチ・コストコ”みたいなGSが大量発生して,GS業界の生態系を破壊しようとしている。早く何とかしなければならないのだが…。 

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