セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.60『油業報知新聞について』

GS業界・セルフシステム

2005-05-23

 油業報知新聞が今月で二万号を迎えたそうである。創刊は1931年1月というのだから、いやはや大したものです。おめでとうございます。それにしても、こう毎年毎年同じ事を繰り返している業界を、これまた毎年毎年同じような記事を書いて叱咤激励し続けるのは、相当な辛抱強さというか、根気強さが求められる作業だと思う。皮肉で言ってるんじゃありませんよ、ホントにそう思っているんです。

 本紙購読者の端くれとして、一言注文を付けさせていただければ、相変わらず市況の変化に一喜一憂するのはもういい加減にやめにしてはいかがだろうか。どれだけ、“未達分の完全転嫁を”と訴えたところで、飽くなき価格競争は終わる気配がない。そもそも、元売り子会社が市況破壊を推し進めているきょうこの頃なのだから、この競走は終わるどころか、ますます厳しさを増してゆくと考えるのが妥当だろう。そもそもガソリンを安く売る業者を悪者扱いするなんて、ナンセンスだ。安く売るには、仕入れコストや販管コストを抑えるための企業努力が払われているに違いないのだから、むしろそういう店を褒めちぎるべきではないだろうか。

 GW明けの買い控え現象に対して各社が採った方策は、やはり“値下げ”であった。“心地良さ”とか“楽しさ”とか“面白さ”といったキーワードはどこへやら、結局、客を呼び戻すのは“価格”なのだ。ならばこの際、油業報知新聞も開き直って、「どこそこの地域では、まだこんな高値でガソリンを販売している。企業努力が足りないのではないか」などと報じたらどうだろうか。そんな記事を読んだスタンド経営者が、唖然とすると同時に、“共存共栄”などという幻想から目を覚まし、企業体質の強化を真剣に考えるようになれば、むしろ感謝されることになるんじゃないだろうか。

 セルフについても、もっと踏み込んだ姿勢で臨んでもらいたい。確かに、増えた増えたと言っても、セルフスタンドはまだ日本のガソリンスタンド全体の1割程度である。それゆえなのか、まだまだフルサービスのスタンド経営者に遠慮して、“セルフ頭打ちのいまこそフルの良さを”などの論調が幅を利かせている。別にフルサービスが悪いというわけではないが、たった1割のセルフスタンドが、ドライバーの圧倒的な支持を得て、販売量では3割ぐらいのシェアを占めているという現実を直視すべきだ。「あそこのセルフはこんなことをやっている」といった記事は、恐らく本紙の読者が最も気になる情報であろう。やたらセルフへの対抗意識をあおるようなことは、業界の発展になんら寄与するものではない。

 これは提案だが、紙面を地方ごとに分けるのはやめて、「セルフサービス版」、「フルサービス版」、「TBA・機器版」、「LPG版」というように、カテゴリー別に分類してはどうだろうか。そうすれば、セルフ、フルそれぞれの現状や問題点がより明確に対比でき、読者にとっても興味深い内容になるのではないかと思う。プロ野球の交流戦ではないが、セルフ派経営者とフル派経営者が紙上討論するのも面白い。

 …とまあ、一言とことわっておきながらずい分図々しくも勝手なことを書いたが、私自身、本紙にこのコラムを連載している以上、もっと多くの人々に読んでもらいたいと考えている。購読者のみなさん、歴史あるこの油業報知新聞をより一層面白くて役に立つ業界情報紙とするために、これからも盛りたてて行こうじゃありませんか!

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