セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.600『真面目な話』

オピニオン

2016-03-15

 記念すべき(?) 600回目なのだが,こういう時に限って,書きたいことが何も思い浮かばない。困ったことである。自分の会社が儲かって仕方がないのなら,その自慢話でも書けば済むところなのだが,あいにくどうにか食ってゆくのがやっとの状態で,ひけらかすようなことは何もない。最近の業界事情について書こうにも,これといった目新しい出来事がない。原油価格の下落に一応歯止めがかかったようで,元売各社は卸価格の値戻しに動きだしているが,末端価格が改善される様子はない。「元売販社が悪い」,「いや,PBがけしからん」,「いやいや,異業種店のせいだ」と,相変わらず批難し合っているばかりで,だれも業界全体のことなど考えていないように思える。

 エネルギーというものにかかわっている端くれとして気になるのは次のニュース。『米海洋大気局(NOAA)は今月9日,世界の大気中の二酸化炭素(CO2)平均濃度が2015年に3.05ppm増え,記録を始めた1958年以降で最大の年間上昇幅になったと発表した。1800年以前のCO2平均濃度は280ppm程度だったが,産業革命による化石燃料の利用増加で急激に上昇。今年2月時点では約402ppmとなっている。NOAAは濃度上昇について,「過去数十万年よりも急速であり,自然の過程と比べると爆発的だ」と指摘。地球温暖化の進展に警戒を強めている』─3月11日付「時事通信」。

 これ,相当ヤバイ状況なんじゃないだろうか。日本でも,今年の冬は気味が悪いほど暖かく,灯油の売れ行きはさっぱりだったが,この先,さらなる異常気象が生じ,いまだ経験したことのない災害や疾病に見舞われるとしたら…ホント,ガソリンの安売りなんかやっている場合じゃないのだ。人間は,地球環境を破壊する一方で,天然資源を驚くべき速度で使い果たしつつある。ある研究結果によれば,地球は人間が1年で消費する分を再生するのに,1年5ヶ月を要するそうだが,人口増加と消費がいまの調子で続くと,2035年までには地球二つ分の資源が必要になるとのことである。そんなことになる前に何とかせにゃあならんのだが,人類は延々と国際会議を繰り返しているばかりで,解決の兆しすらない。

 …そういうわけで,日本のGS業界にとっては,このところのガソリン販売量の減少傾向は災い以外の何ものでもないが,人類全体にとっては喜ばしいことと言えるのである。しかし,現実には,人類の未来より,きょうの糧を得ることのほうが大切だという人が大半であろう。だからこそ,1㍑あたりの儲けを厚くして,販売量が漸減してゆく中でも経営を続けてゆけるようにしなければいけないのだが,以前このコラムでも取り上げた「囚人のジレンマ」の法則にとらわれ,価格競争の泥沼から一向に抜け出せないでいる。

 “ガソリンを安く売ることで庶民の暮らしを支えている”と言えば聞こえはいいが,このコラムの連載を始めてすでに12年。その間,構造不況に陥り,元売も小売も疲弊し切ってしまい,国民生活を支えるインフラとしての機能が果たせなくなってきている。郵便局は,自由化されてもなおそのほとんどが地域に残っているが,GSは潰れるがままだ。昨年度1年間だけで1196カ所のGSが閉鎖され,スタンド3カ所以下の過疎市町村は283自治体に及んでいる。“所詮は過疎地での出来事だ”と放っておいてよいものだろうか。人口減少の波は今後確実に都市部に押し寄せてくる。いや,もう押し寄せてきているのだ。いつまでも,系列だ,PBだなどと争っていないで,業界全体の存続を図ってゆかねばならないと思う。

 今回は少し真面目なことを書かせていただきました…。

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