セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.609『妬みは骨の腐れである』

オピニオン

2016-05-24

 ピッツバーグ大学医学部の研究チームは,『フェイスブック』や『ツィッター』などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が精神に及ぼす影響について調査を行った。その結果,SNSの利用頻度が高ければ高いほど,うつ病になりやすことがわかった。

 研究チームは,米国に住む19歳から32歳までの1,787名を対象にアンケート調査を実施。その回答をうつ病の評価法に組み込んだ。対象者のSNSの利用時間は1日平均61分で,利用回数は週平均30回だったが,何と対象者の4分の1以上が,うつ病になる可能性が高いとされた。SNSの利用頻度が低い人と比べ,頻度が高い人がうつ病になるリスクは2.7倍にもなるという。

 なぜSNSがうつ病を引き起こすのか。研究チームは「SNS上で友人らの投稿を目にすることで,自分以外の人たちは幸せで充実した人生を送っているという歪んだ認識と,うらやむ気持ちが生じる」からだと分析している。また,SNS上で傍観者でいると,自分は時間を無駄にしていると感じるようになり,うつ病になるとのことだ。(5月22日付『フォーブス』web版より)

 

 GS業界でも,店の売上げが落ち込んでいることに悩んでいる時に,たまたま近所のGSの前を通ったら,すべてのレーンに給油中の車が停まっていたなんて光景を目の当たりにすると,嫉妬心や焦燥感に駆られて,ますます落ち込んでしまったという経験をした経営者は少なくないだろう。

 「売れていないのは自分の店だけではなかろうか」,「ずっとこのままの状態が続くのではないか」という不安に襲われると,どんどん消極的な感情が広がり,倦怠感や不眠,食欲不振などに陥るかもしれない。あるいは,強迫観念に突き動かされ,採算が取れないレベルの価格で販売するなどしてドツボにはまってゆく人も。そのうち“ガソリンの安売りを続けるとうつ病になりやすい”という研究結果が出るかもしれない。

 決して笑い事ではない。“妬みは骨の腐れである”という格言がある。嫉妬心や競争心は,うつ病だけでなく,呼吸器疾患や高血圧,じんましん,ぜん息,肝臓疾患,すい臓の障害など,様々な病気と強い因果関係を持っていることが,医学的に証明されている。たとえガソリン販売量世界一を達成したとしても,その代償として自分の命を縮めるなら,一体何の徳になるというのだろう。その時に後悔しても手遅れだ。

 人間社会で何のストレスも感じずに毎日を過ごすことは不可能だ。SNSによる意見交換や情報共有によって生まれる“繋がり”がそれらを緩和するかと思いきや,「『フェイスブック』は人生の幸福度を下げる」と断言する研究者もいるほど,まったくの逆効果となっているのは皮肉なことだ。かつてチャップリンは,映画『モダン・タイムス』で,テクノロジーの進歩がもたらす狂気を見事に描いて見せたが,80年経ったいまでも,やはりテクノロジーは人間を幸福にすることができないばかりか,むしろ,新たな“腐れ”をもたらしていると言えそうだ。

 かく言う私も,年々厳しさを増す経営環境の中で,イライラ,ハラハラ,クヨクヨ,ムカムカ,メソメソなど,心は常に擬声語を発しているような状態だが,いちいちそんな気持ちをツィートすることもなく,『フェイスブック』にも無関心。『LINE』も何だかうっとうしい。とにかく,きょう一日を平安に過ごすことができれば,それで御の字。こんな私の生き方に共感できる方は“いいね”してください

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