セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.62『ユニフォーム』 

GS業界・セルフシステム

2005-06-06

 「COOL BIZ(クール ビズ)」として環境省が呼びかけた、「ノーネクタイ、ノー上着」の軽装運動が、今月1日から中央官庁や国会で始まった。職場の冷房温度を28度まで上げ、地球温暖化防止に役立てようという試みで、小泉首相をはじめ全閣僚は9月末まで原則、軽装で公務を行なうそうだ。まことに結構なことである。

 そもそも、首もとを帯で縛るなんておかしなファッション、どこのどいつが流行らせたんだろうと思っていたが、これは17世紀、ヨーロッパでの30年戦争のころ、パリにやってきたクロアチア騎兵隊の戦士たちが首にスカーフを巻いていて、この洒落たスタイルが一躍フランス国民に受け、新しいファッションになったらしい。それ以来、ネクタイは文明人の証しだと言わんばかりに、世界中に普及して行った。列強の仲間入りをしようとしていた東洋の島国も、ご多分に漏れず、“文明開化”の名のもとに、この習慣を取り入れ今日に至っている。

 少し前まで、ネクタイはガソリンスタンドのユニフォームにも取り入れられていた。あるスタンドでは、エンジンの調子を覗き込もうとした従業員のネクタイが回転しているファンに巻きつき、危うく大けがをしそうになったことがある。それではと、元売りのマークをかたどったタイピンで留めれば、洗車の拭き上げのために車体に密着した際、タイピンで傷をつけてしまったこともある。次に蝶ネクタイにしてみたが、これを元売りのカタログに出てくる写真のようにきちんと着用させようとすれば、それこそ棒ネクタイ以上に首をしっかり締めつけなければならない。夏場の暑さの中で、これはストレス以外の何物でもない。

 ネクタイに限らず、元売りの社員が、冷房の効いた部屋の机上で考案した数々のユニフォームは、スタンドでの仕事の足を引っ張ってきた。かつてある元売りは、マリンブルーを基調とした自社スタンドで働く従業員に、“躍動感を演出する”との名目で、帽子からシャツ、ジャンパー、ズボンに至るまで黄色(!)で統一したユニフォームを着せることを考えついた。新ユニフォームが支給されてしばらくすると、その元売りの系列店では、飛び散ったオイル汚れなどで、まるでヒョウのような斑点模様となった従業員が“躍動”していた。

 これまでガソリンスタンドは、接客における印象度を重視するあまり、およそ、給油や洗車、点検・整備といった本来の仕事には不向きなユニフォームを元売りから押し付けられてきたように思う。そしてセルフ時代の到来。もはやフィールド内を、給油だ、釣り銭だ、誘導だと走り回らなくても良くなった分、今度こそ“接客”に重点を置いたユニフォームを着ることができるようになった。ネクタイを締めようが、黄色のジャケットを着ようが、汗や油の汚れを気にせず自由に着こなせば良いのだ。

 しかし、高コストセルフを洗車やタイヤ・オイルなどの販売収益で賄わねばならない店では、フルスタンド時代よりも“作業性”を重視したユニフォーム姿の従業員がいたりする。この間も、ツナギ姿のスタッフが五人も待機しているセルフスタンドを見かけた。やる気満々であるが、そんなのを見ると『何だか違うんだよな~』と思ってしまうのだ。

 いずれにせよ、セルフスタンドにも幾つかのタイプがある。洗車を主力とする店、点検整備に重点を置いている店、コンビニやコーヒーショップを併設している店などは、それぞれの形態の中で従業員にふさわしいユニフォームを着させるべきだろう。

 じゃあ、お前のスタンドではどんな格好をさせているんだ、ですって?給油のみセルフで、キャッシャーでの接客もない私のスタンドでは、私も、従業員も、みんな好きな格好をしている。ちなみにわたしの夏用ユニフォームは、コンバースのTシャツにマリークレールのバミューダパンツ、ホーキンズのサンダルである。これぞCOOL BIZ!?

コラム一覧へ戻る

ページトップへ