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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.631『ハロウィーン』

社会・国際

2016-10-24

 『今月31日のハロウィーンに向け,毎年多くの仮装した人であふれる東京・渋谷駅前について,警視庁は,初めて歩行者天国を導入することを決めた。今年は,28日金曜日から31日月曜日にかけて,渋谷駅周辺で90以上のイベントが開催され,昨年の8,000人を超える人出が予想されていることから,警視庁は混雑のピーク時には,道玄坂下交差点を中心とした車道の一部を歩行者天国にして,混乱防止を図ることにした』─10月24日配信「FNNニュース」。

 ハロウィーンとは,古代ケルト人が起源と考えられている祭りのことで,もともとは秋の収穫を祝い,悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事だったが,現代では,クリスマスと同様,欧米諸国における大衆イベントとなっている。カボチャの中身をくりぬいて「ジャック・オー・ランタン」を作って飾ったり,子どもたちが魔女やお化けに仮装して近くの家々を,「トリック・オア・トリート」と唱えながら訪ねてまわり,お菓子を集めるという習慣がよく知られている。

 日本でも,近年,東京ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンで盛大なイベントが開催されたりして,次第に流行化しているようだ。とりわけ,日本でハロウィーンと言うと,仮装・コスプレイベントの趣が強く,10月31日の夜は,渋谷のスクランブル交差点は魔女や吸血鬼やゾンビどもで溢れかえるというわけ。そして,人ごみの溢れるところには,ゴミもまた溢れる。路上での暴力事件も頻発しているとのことで,ハロウィーンへの批判も年々増加している。

 日本におけるハロウィーン関連ビジネスは,1200億円と,わずか4年で2倍の規模に成長したそうだが,GS業界にはほとんど関係なし。元売各社も,ハロウィーンに乗っかったキャンペーンなどは企画しておらず,計量機までカボチャの飾り付けをする米国GSとは対照的である。ただし,コンビニ併設店では,ハロウィーン限定スィーツなどが盛大に売り出されるはずだから,GSクルーも,雰囲気を盛り上げるためにハリポッターの格好をさせられるかも。

 古代ケルト人は,不気味な仮装をすれば,悪霊たちが自分たちの仲間だと勘違いして通り過ぎてゆくだろうと考えた。悪霊がどう見てくれるかは別として,一般市民は別の意味で勘違いしてしまう恐れがある。昨年10月,熊本県で,「仮面をかぶりチェーンソーを持った男が歩いている」との110番通報があり,複数のパトカーが集まり大騒ぎになるという事件があった。犯人の20歳代の男は,「ハロウィーンの仮装で職場を驚かそう」と考えたとのことで,チェーンソーはおもちゃだった。米国なら撃たれていたかもしれない。事実,1992年には米国・ルイジアナ州でハロウィンの仮装をした16歳の日本人留学生が射殺されるという痛ましい事件が起きている。私の店の周辺は大学生が多く住んでいるので,深夜に,酔っ払ったジェイソンやフレディが出没するかもしれない。要警戒。

 ケルト人たちはまた,甘い食べ物で悪霊たちをなだめられると考え,中世に入り,カトリック教会の聖職者たちがそれら異教の習慣を取り入れた結果,現在の「トリック・オア・トリート」へと発展していった。直訳すれば,「悪戯か,ご馳走か」だが,「お菓子をくれないと,いたずらしちゃうぞ」という意味で,訪ねてくる子供たちにそう“脅され”たなら,大人たちはお菓子をあげるのが“お約束”となっている。GS経営者の中にも,毎年,元売に「事後調整くれないと,転籍しうちゃうぞ」と脅しをかけてきた人がいるかもしれないが,これからは訪ねる家もめっきり少なくなるうえに,どの家も戸を開けてくれなくなるだろう。

 ところで,多くの人は,ハロウィーンを他愛もないイベントと見ているかもしれないが,その背後にあるものが悪魔崇拝であり,オカルト的なものであることを考えると,決して無害なものではないと私は思っている。

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