セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.638『神ってる?!』

オピニオン

2016-12-12

 毎年恒例の「新語・流行語大賞」,今年の大賞は『神ってる』。今年ブレークした,広島カープ・鈴木誠也外野手が6月17・18日と二試合連続でサヨナラホームランをかっ飛ばし,緒方監督が試合後の取材で「いや~神ってますね~」と言ったことから広まったとのことだが,ネット上では,「“神ってる”なんて言葉,全然使ってないし,聞いたことない」などと疑問を呈するコメントも寄せられている。いずれにせよ,今年25年ぶりのリーグ優勝を果たし,社会現象を巻き起こしたカープ旋風を象徴する言葉として選ばれたのだろう。

 「神ってる」とは,「神懸っている」をカジュアルにした感じの言葉だ。確かに今年の鈴木選手の活躍は素晴らしかったが,神懸りというほどのものではなかったと思う。やはり,今年一番“神っていた”のは大谷翔平だろう。野球漫画のヒーローのような選手が,現実世界に現れたことがいまだに信じがたい。今年はイチローのメジャー通算三千本安打もあり,野球ファンにとっては忘れられない一年であった。

 「神ってる」に近い言葉に「神対応」というのがある。「主に企業のクレーム対応などについて,驚き感心するほど行き届いた対応に対して用いられる表現。不具合製品の修理サービスに関する手際の良さや,配慮に満ちたサービスなどに関する最大級の好評価を表す語として用いられることが多い」(weblio辞書)。GSも,小売業であると同時にサービス業であるから,お客さまから「神ってる」と言われるようなサービスを提供すべく研鑽を積まねばならない。

 と言っても,超人的な接客や対応をしなければならないということではなく,要は,マニュアルの枠にとらわれない,親切な対応や,優しい気遣いを示すということなのだろう。携帯電話やスマートホンの普及によって,コミュニケーションの手段や領域は多様化したにもかかわらず,人間同士の自然なふれあいはむしろ希薄化しているといういまの世にあっては,ひとむかし前なら日常的になされていた親切が,まるで神に微笑みかけられ,抱きしめられているかのように感じられるのかもしれない。

 今年の流行語トップテンに入った言葉には,『ゲス不倫』とか『保育園落ちた日本死ね』とか『盛り土』とか,本来流行ってはいけないような出来事もある。『ポケモンGO』も当然ランク入りしたが“ポケGO運転”による事故は後を絶たない。テクノロジーとは人間の生活に幸福をもたらすはずだったが,実際には問題を増やすばかりのようだ。もっとマシなものを流行らせろよと言いたい。

 ピコ太郎の「PPAP」もランクインした。ホント,バカみたいな歌なんだけれど,いろいろと替え歌を作って楽しんでいる人が多いらしい。石油業界でも,「出光」と「昭和シェル」がくっついて,「Ohh…アッポロシェル!」となるところだったのが,創業家の猛反発を食らって頓挫してしまった。一方,JXと東燃ゼネラルの方は,お互いに『アモーレ! 』と呼び合ったかどうかは知らないが,すんなり統合が決まり,来年4月から「JXTG」となる。

 経営統合を主導した経済産業省の思惑は,一にも二にも,合理化による企業体質の強化であった。しかし,これまでに三菱,興亜,九石,JOMOと次々に吸収し,大きくなることに存在価値を見出してきたJXに,エクソン流のクールな合理主義が浸透するかどうか。結局,これまで同様,大が小を呑み込むだけとなってしまうのではないかと憶測する向きもある。「I have a エネオ~ス I have a とうね~ん♪ Ohh !…さて,どうなりますか…。

 年末のもう一つの恒例行事である「今年の漢字」。こちらは『金』。「金」メダル,政治献「金」,マイナス「金」利…と世相を反映してのこの一文字だろうが,いまさら「金」かよ,というのが率直な感想。6千年以上に及ぶ人類の営みの多くは,常に「金」を追い求めるものであったわけだから。その「金」のために,争いや過ちを延々と続ける人類は,「神」とはほど遠い存在だと思う。

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