セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.67『久々に給油作業をしてみた』

GS業界・セルフシステム

2005-07-11

 5年間使い続けた中古POSが、遂に壊れた。最近、ちょくちょく通信エラーを起こすようになっていたのだが、スタッフのYが、部屋の模様替えをしようとPOSを移動させた途端、プッツンとなった。調べてもらったところ、通信基盤がパンクして交換修理に15万円ぐらいかかるということだったので、思いきってトキコテクノ製の新型セルフコントローラーを購入した。しかし、セルフコントローラーという代物は、プレステ2などとは違って、簡単に接続できるものではない。幾つもの設定値を入力したうえで、ていねいに結線してゆかなければならない。それで、客足がまばらになる深夜に、Yが接続作業をしている間、優秀な元SSマンの私が(!)店頭で非連動となった計量機で給油作業をすることになった。

 「いや~、客の車に給油するなんて何年ぶりだろう…」などと考えながら外で立っていると客がやって来た。

 「すみません、いまシステムの工事中なので手前どもで給油させていただきます。プリカをお預かりします」と断って、卓上プリカ減算機で残り金額を確かめ、電卓を叩いて数量を計算し給油開始。少々緊張しながら、給油を終えると、客から「すみません、ありがとう」と声を掛けてもらった。こちらこそ、ご迷惑をかけてスミマセン、毎度ご利用アリガトウなのだが、客のほうから「すみません、ありがとう」と言ってくれるところが、おもしろい。

 セルフスタンドを始めた当初、「客に給油させるとは何事だ!」と文句を言っていた人はどこかへ行ってしまい、いまでは給油をすると感謝される時代になったのだ。読者の中にはいまだに信じられない方もいらっしゃるかもしれないが、いまや、ガソリンは客自身が給油するのが常識であり、それを従業員が“タダで”行なうのは、親切な人助けとみなされる時代となったのである。

 考えてみれば、慢性的な人手不足のスタンド業界にあって、自動車にガソリンを給油するなどというつまらない仕事に、大切な従業員を使って良いはずがない。しかも、いまだにフルサービスのスタンドでは、『スタッフ募集!35歳ぐらいまで』と謳っている。ただでさえ、少子高齢化が叫ばれているこの国にあって、貴重な若者たちに、老人はおろか、仕込めば猿でもレッサーパンダでもできそうな仕事をさせるなんて、日本経済の損失だとさえ思う。

 おっと、またムキになってフルサービスを攻撃しちまった。しかし、わずか1時間ほどの間に私が給油をした数台の客が、老若男女皆口々に「ありがとう」「ごくろうさん」と声を掛けてくれた事実は、フルスタンドがセルフのわずか2円高で給油していることが、いかにモッタイナイことであるかを私に教えてくれるのだ。

 さて、結線・設定が終わり、再びセルフ給油モードに切り替わった。新型のセルフコントローラーは、これまで別々だったPOS機能とコントロール機能が一体となったスグレモノである。従来の余分な機能を剥ぎ取ったコンパクトな外観をご覧になれば、「エッ、これだけでいいの?」と思われるに違いない。カラーディスプレイには、各アイランドの給油状況が色鮮やかに表示され、なかなか良い。「やっぱ、セルフは楽でいいよな~」─。テクノロジーの進歩に感謝しつつ、私は深夜のセルフスタンドでしみじみと感慨にふけるのであった。

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