セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.694『販売部長!』

GS業界・セルフシステム

2018-02-05

 1月31日付「油業報知新聞」に「元売販売部長に聞く」という記事が掲載された。あらかじめ設定された質問に答えるかたちで前年を振り返ったり,今年を予測したりする,毎年恒例の特集記事だが,今回は「五年後に想定されるSS像は」という質問があった。元売各社の販売部長たちはどのようなコメントをしているかと言えば─。

 まずはJXTGエネルギー執行役員販売本部販売企画部長・斎藤猛氏。「現在,多くの自動車メーカーが電気自動車への対応を強化する方針を打ち出している。しかしながら,電気自動車の普及には,未だ幾つかの課題が残されているため,五年後のSSが果たすべき役割に大きな変化は生じないと考える」─。

 “そんなに急に電気自動車が増えることはないからいままでどおりですよ”ということのようだが“ああ,そうなのか。安心した~”と胸をなでおろしているGS経営者はそんなに多くないんじゃないかな。実際,元売のみなさんも本心ではそんなに楽観的に構えてはおられないと思う。ただ “当社の予測によれば全国系列SSの〇□㌫は廃業せざるを得ないと思いますので,いまのうちに準備をなさったほうがよいと思います”なんてことはとても言えないだろうから,とにかく2019年7月のブランド統合までは,特約店・販売店のあいだに不安が伝播し,いわゆる“シャドウ・エバキュエーション”現象が生じないよう神経を尖らせているのだろう。でっかい会社を経営してゆくのは大変だ。

 次は出光興産上席執行役員販売担当兼販売部長・荒井祐治氏。「セルフSSの姿は五年後には相当変っているように思います。ハンドルを握らなくても車が走る時代がもう目の前にあります」と,こちらは対照的に踏み込んだ未来予想図を語っている。で,そんな未来に向けて出光はどんな手を打つのかと言うと,「給油業務だけではなく,スタッフを適材適所に配し,クルマ周りの需要をしっかり取り組むことのできる「カーライフステーション」として機能(させる)必要があります」─。もう十年も前から言い古されてきたような“施策”でがっかり。これもまた,具体策はまだ表に出せないから仕方なしに言っているのだろうけれど,販売店の期待が高まるような“何か”を提供してほしいなと思う。

 その出光と,いまごろは一緒になっているはずだった昭和シェル石油。販売部長の阿部正憲氏は「当社のSSネットワーク戦略において,コンビニと協働した新業態のビジネスモデルやカービジネス主体の大型セルフSSの新規出店を今後も計画しております」とのことで,5年後に想定されるSS像については言及なし。これからも「投資を積極的に実施することによって,強固なSSネットワーク作りを特約店さまと協働で実施してゆきたいと考えております」と,鼻息が荒い。そのうえで,SSに求められるのは「一人ひとりのお客さまにあった「個客」サービスがかぎとなる」としている…。

 特約店・販売店にとって,石油元売の人事で一番注目しているのは,社長よりも販売部長がだれになるかだと思う。帝国陸軍なら参謀本部,海軍なら軍令部のそれぞれ第一(作戦)部長のような存在で,事実上の販売戦略執行者であると言っても過言ではない。“どこで買っても同じモノ”であるガソリンを,どうやって自社ブランドでの増益に導くことができるか。しかも,ガソリンは彼らが課長ぐらいだった時代とは違って,年々売れなくなってきている。系列店は販売部長から下命される作戦指令を固唾を呑んで待っている。販売部長殿,どうか恐れることなく難局に立ち向かってください。GS業界の五年後はみなさんの双肩に掛かっているといってよいのです。

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