セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.71 『セルフ改造工事』

GS業界・セルフシステム

2005-08-08

 現在、名古屋市内で二件のセルフ改造工事に取り組んでいる。一件は、自動車整備工場の 一画にある、70坪程度のノンスペ給油所を、アイランド一基のみのポンプスタンドとして リニューアルするもので、今月20日までには完成する予定だ。これまでセールスルームと して使用していたスペースは、板金・塗装の「ファブリカ」のセールス・オフィスに衣替え させるそうで、私が常々主張している、* ガソリンスタンド添え物論”を具体化させたもの と言える。

 本業の整備工場はしっかり儲かっているので、ガソリンスタンドはいわば 客寄せのた めのアイテムに過ぎない。整備工場へちょっと立ち寄ってみようという客はあまりいないか もしれないが、ガソリンを給油したついでに車の修理や点検の相談をしてみようか、という 客は結構いるもので、今回のセルフ化は、「カーケア取次店」のようなコンセプトとなって いる。 計量機一台の、ほとんど。ガソリン自販機”のようなセルフスタンドが、本業の収益 アップにどれほど貢献できるか、今後の成り行きを見守りたい。

 もう一件は、長年掛売り客を相手に堅実な商売を続けてきた、老舗スタンドである。二代目経 営者は、先細りの状況を打破しようと、今回、セルフ化に踏み切った。しかも、それまで午後8 時には閉めていた店を、セルフ化を機に24時間にするという。なかなか出来るものではない。 しかも、これまでの掛売り客については、セルフ化後も利用できるよう、ていねいに事前告知 を行ない、掛売り客用のプリカを用意するといったしたたかさも見せている。また、セルフ化に 伴ない、PBスタンドに変身し、従業員の雇用システムもガラッと変わりそうだ。コテコテの掛 売りスタンドが、24時間セルフスタンドとしていかなる変身を遂げるか、こちらも注目したい。 オープンは9月初旬。

 とはいえ、結論から先に申し上げれば、私はどちらも成功すると見ている。いや、成功しても らわなければ困るのだ。ガソリンスタンドが整備工場を併設するのではなく、整備工場がガソリ ンスタンドを併設するとどうなるか。 計量機が一台しかないスタンドが、どれだけの販売実績を あげ、本業”の利益に貢献するのかー。この試みが成功すれば、異業種によるガソリンスタン ド経営は、より安直なものとなるに違いない。

 長年掛売り客を頼りにしてきたスタンドがドラスチックな変身を遂げた時、それは既存客にい かなる影響をもたらすのか。セルフスタンドと掛売り客の共存は可能かー。多くの地方のスタン ドが抱える不安が解消するなら、中小零細のスタンドのセルフ化は加速化されることだろう。

 いずれにせよ、これら。異型セルフスタンドを創造し、成功させるためのキーワードは二つ しかない。一つはローコスト。とにかく無駄なコストはかけずに、給油施設として必要最低限の機能と仕組みでとりあえずスタートすることが肝要である。建設コストを安く上げたぐらいで喜 んでいてはいけない。その後生じる、人件費コスト、保守コスト、安全コストなど、スタンド経 営にまつわる様々なコストをいかに抑えるかが、第一条件となる。

 しかし、それにも勝って成功に不可欠な条件―それは、経営者の意志である。取引先からなん と言われようと、従業員からどれだけ突き上げられようと、元売からいかに圧力を受けようとも、 「これが進むべき道だ。これ以外に道はない」との堅い決意と、強い実行力をもって臨まなけれ ば、成功はおぼつかないだろう。そのような経営者に私は協力を惜しまない。

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