セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.73『郵政民営化』

政治・経済

2005-08-22

 総選挙真っ盛りである。今回は郵政民営化の是非を問う、国民投票的な趣の選挙となっている。「官から民へ」の合言葉のもと、小泉・自民党は反対派をたたき出し、郵政事業の民営化実現にひた走る。一方、反対派の民主党や新党は、日本全国あまねく張り巡らされた郵便局ネットワークの維持を訴えて抵抗している。

 私としては、郵便事業のようなものは民間企業でもできる、いや、むしろ民間企業のほうが上手にできるのではないかと思っている。大体、役人がやったほうがうまく行くなんてものが、この日本にあるんですかね~。しかし一方で、国民の金融資産の4分の1を占める300兆円もの郵貯・簡保の資産が民間市場に流れ、結局、それらがアメリカの財政赤字減らしのための米国債買いなんかにジャブジャブ使われたりするのではないかと心配になったりもする。

 何はともあれ、来月の11日の投票日には郵政民営化の行方ははっきりするわけなのだが、私がつくづく疑問に思うのは、これまでのところ、全国で郵便局を経営しているおよそ二万人の特定郵便局長のだれ一人として「オレは民営化賛成だ!」と声を上げないことである。だれも彼もが「民営化反対」を叫び、局長サンの奥様たちまでが徒党を組んで永田町に陳情に押しかける有様である。

 聞くところによれば、特定郵便局長の平均年収は920万円、ほかにも局舎料として年間400万円ほどの収入があるそうだ。公務員なのに原則世襲制で、転勤やリストラもなしという、なかなかうらやましい立場ではあるが、もし民営化で自由な経営が許されるようになれば、コンビニを凌ぐ多様なサービスを提供してもっと儲けることができるゾ!と意気込む、起業家精神を持った人はいないのだろうか。

 かつてガソリンスタンド業界も、店舗を建設するにも、燃料を仕入れるにも、日曜日に営業するにも、ことごとくお上の指図に従わねばならない、まるで“公社”のような存在だった。その後、段階的な規制緩和によって、いまではセルフ給油もOKというところまで来た。“官尊民卑”の日本でよくぞ成し遂げることができたものだと思うが、これは外資系石油会社の意を受けた米国による外圧のお陰なのだそうだ。その結果、外資系石油会社は、日本におけるスタンド経営を事実上直営化することに成功しているというわけだ。

 一方、かつては特定郵便局のように、役所と組合の庇護のもとで十年一日の如き商売をしていたガソリンスタンドは、市場競争原理の中で淘汰が進んでいる。しかし、中には、独自の経営スタイルを創り上げ、カーケアや洗車を専業特化させたり、中古車販売やコンビニ経営などとのコラボレーションを成功させるなどしてバリバリ稼いでいる経営者もいる。そして、これら優勝劣敗の構図は、いまから7年半前のセルフ時代の幕開けと共に顕著になっていったのである。

 郵政民営化が実現した暁には、意欲ある特定郵便局長のみなさんは、是非、セルフ時代をたくましく生き抜いているガソリンスタンド経営者を見習ってほしい。くれぐれも、安売り赤字経営に明け暮れている馬鹿を見習ったりしないように。民営化によって勝ち得た自由をフルに活用して、柔軟な発想で、国民が喜ぶ便利で有益なビジネスモデルを創造してもらいたいものである。そして、何よりも、公務員という人種にもっとも欠けている感覚─コスト感覚を研ぎ澄まし、安くてお得なサービスを提供していただきたい。あ、そうそう、もし“ウチの郵便局の駐車場の一画でセルフスタンドをやってみよう”とお考えの局長サンがいらっしゃったら、喜んでご相談に応じますよ。

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